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2017-01-01 00:00

■カイゴルセシTA

■カイゴルセシ。セシルはみんなのことがすき。カイセシでゴルセシでカイゴル。TA。
――皆と皆、仲良く手を取り合えたなら。
素敵だね、とセシルは言うのだ。





目覚めて、起きて、声を掛けられた。
寝坊だな、寝癖が付いてるぞ。そんな気安い、気軽な声。そして差し出された手が髪に触れた。
跳ねた髪を拾い、絡めて遊んで、それから深くへ指を入れる。粗略だけれど優しい、そんな仕草。
ああ――セシルは深く安堵を覚えて、髪を梳く手指の感触に浸る。

「何だ、起きたふりして、まだ頭は夢の中か?」

眠り姫じゃあ無いだろう、お前は。もう二度とは勘弁してくれよ、心臓に悪い。
その軽口が心地好い。セシルは、ふっと微笑んで、彼の言葉を考える。さて何と言えば良いのだろうかと。

「それじゃあ、何だろう。……眠り、王?」
「……お前がぼけているのは、ああ、いつもの事だったか」

変わらないな、お前は。声に出して笑って、彼が言う。
ああ。それは僕の台詞だよ――カイン。

野営の跡。焚き木の灰が、ほろ苦く香る。
掛け布代わりの外套を払い、起き抜けの居住まいを正して。
君とまたこうして此処で、共に居る。それを何より、心より嬉しく思う。凛と声を張ってセシルは言った。
光栄だ、と畏まり身構えて、カインは答える。

「…ふふ」
「フッ…」

暫くそうして向かい合い、やがて揃って相好を崩した。

「ついさっきまで、寝惚けていたくせに。流石の貫禄だな」
「お前には負けるよ。そうして格好付けてさ――本当に、格好良い」
「惚れ直したか?」
「とっくに、べた惚れだよ」
「ああ。俺も、愛してる」
「……馬鹿」

二人して笑い、見詰め合う。
お前が、ここに居てくれる――それを目で見て、確かめる。声を掛けて、実感する。
嬉しい、だけど何だか照れ臭い。また笑ってしまいたい。真剣過ぎて変な顔だと、そう言って茶化して、小突き合って。
けれど、それをするよりも、お互いの目に惹かれた。じっと窺い、互いを想う。
二人きりだ。阻むものは無い、憚る事も無い。そんな事を思う。
瞳を覗いて、身を乗り出して。鼻先に鼻を寄せ、また目を突き付ける。

「セシル」
「…カイン」

……お早うのキスを。
首を傾げて、そっと顔を近付けて――蹴倒されて、カインは砂塵を巻き上げ地を滑った。

「――……えっ、……兄さん?」

驚いて、目を見張って。それから漸くセシルは気付いた。
簡素な黒衣。鍛え抜かれた褐色の体躯。セシルと同じ色の、しかし癖の違う銀髪。ゴルベーザは蹴散らした青には目もくれず、ざり、と素足で土砂を踏み締める。
仁王立ち、とはこの事か――確かエッジから聞いた、そんな喩え文句を思い起こして。ただ厳格なその様相に、セシルはついつくづくとして見蕩れた。
あ、いや、そうではなくて、と正気に返ったのは、ややあってからの事だった。
しっかりと正座をしているセシルの前に、ゴルベーザも倣って座る。

「セシル」
「え…っ」

そして、ちゅ、と啄むようにして唇に口付けた。
軽く押し付け、重ね合わせて、そうして触れて直ぐ離れる。

「……お早う」

セシルはこんらんした。
それは、本当に突然で。驚く間すらも無くて、まるで理解が及ばない。
セシルはただ瞬き、まだ面前にある兄の双眸を見詰めて。今し方唇に触れた、その感触を思い返して。
――がしゃり、と纏う鎧を軋ませて、カインが跳ね起きた。
音を聴いて我に返り、セシルはどきりと身を竦ませて――ぽっと顔を赤らめる。
おいこら待てとカインは指差し、目で睨み……真っ赤になって恥じらって、はい、お早う御座います、などと言ってはまた俯く、それは可愛らしいセシルをそこに見付けた。
ああ、おかしいな、どうしてそこでそういう可愛いセシルの前に居るのは俺ではなくてその半裸男なのかと、カインはかなり真面目に悩む。
そしてゴルベーザは戦慄く聖竜騎士を一瞥だけして、腕にはセシルを抱き寄せた。慌てるセシルに名を呼び掛けて、愛おしげにその髪を撫でて。
――不埒な奴め、と吐き捨てて、苦みを噛んで噛み潰す。

「奪われるくらいなら……私が奪う」

渡せるものか、と短く続けて。殊更に強く――躊躇もせずに、そう言ってのけた。
兄の固い腕の中、頻りに目を瞬かせては耳まで赤くしたセシル。ゴルベーザは愛しい弟を胸に抱き締める。
カインからは、そう押し込まれたセシルの顔すら見えない。嫌がるような素振りも見えない。
カインは飛び起きたそのままで棒立ちになり、「訳が分からない」という、そういう表情をした。
ええと、何だ、とどのつまり、結局は、あれか。

「ヤキモチ、か……いい年齢こいて、そのなりで、弟大事のブラコンか、お兄さん」
「誰がお前の兄だ」

馬鹿か、とカインは言い捨て、大仰に砂塵を蹴って歩み寄る。
ゴルベーザは抱き留めたセシルを手離して、彼を背の側へと匿った。
離れる際に、あ、と声を漏らしたセシルの、その声音。その表情。カインは踏み出す足を速める。
近くにまで来てはどさりと乱暴に腰を下ろし、ずいと詰め寄り、セシルとの間を遮るゴルベーザと向き合って。睨み合って。
目に目を映し、その瞳の色を見て、ああ、セシルと同じ色だな、などと考えて。
カインは更に押し寄り、噛み付くようにゴルベーザへと口付けた。
咄嗟に後ろへ逃れた首を黒布を掴んで引き戻して、当て付けるように塗り込めて。出来得る限りに嫌らしく唇を舐めた。

「……間接キス、だ」

ご馳走様、と。引き剥がされる前にカインは離れて、どうだと言って、これ見よがしに唇を舐める。
ゴルベーザはそれをしたカインを見て、見据えて――阿呆か、と呟き、歯を噛んだ。

「阿呆で結構だ。ああ、驚いただろう?何だ、殴るくらいはされるかと覚悟をしてたが、どうした、腰に来たか?」

言って重ねて笑うカインに、何を馬鹿な、とゴルベーザも笑う。
私がお前を恐れるなどと、そんな事があるものか。ああ、腰が抜けたかっていうのは、そういう意味じゃなくてだな。
また睨み合い、笑みを作って言い合いをして。

「ほら、顔が赤いぞ。そんな顔で取り繕って睨んでみせても、怖くも無い。可愛いじゃないか」
「戯言を……腹を立てれば、赤くもなる。お前は事の区別も出来ないのだな」

意趣晴らしが出来て、調子付いて。酷い揶揄だと息巻いて。
馬鹿を言うな馬鹿を言え、と吠えては吠えて。二人がそれをする中で――あの、と遠慮がちに声が掛かる。
ええと、その、ごめんなさい。ただ控え目に、小さく重く。

「――僕は、お邪魔……かな」

兄の傍らで肩を落としては縮こまり、それは申し訳無さそうに……寂しげに、セシルが言った。
どれだけ鋭利な槍だとて、こうも鋭く胸を抉る事は無いだろう。そういう痛みを錯覚した。メテオの威光と爆音が、頭の中で鳴り響きもした。
伏し目がちに、じっと俯いたセシルは、ああ、それは可愛らしかった。

――弁明と釈明と、平身低頭しての謝罪とを。
うん、有り難う。僕も二人が好きだ、二人の事が大好きです、とセシルは言って。右手と左手を別に、それぞれに差し出すのだ。
握手をしよう、皆で。分け隔て無いセシルの笑顔。焚き火の名残の苦い臭い。
愛しいセシルを挟んで、カインとゴルベーザは顔を見合わせて、そこへ飛び込んで来た魔物に八つ当たりをした。




<終>
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