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2017-01-01 00:00

■ゼムス×ゴルベーザ ※15禁※

■毒電波プレイ。


銀色が、視界を過ぎる。

弾かれたように顔を振り上げ、ゴルベーザは座していた玉座から身を浮かせた。
そうしたままで幾度か瞬き、緩く首を巡らせてはあの煌めきを追って――我に返って。
ああ、とゴルベーザは呻く。ああ、あの銀色は此処には無い。己はただ思い違いをしたのだと気付いて、ゴルベーザは重く息を吐き宙を仰いだ。

「如何しました」

下座に控えていたルビカンテがその紅蓮の衣を翻しては向き直り、主へと問い掛けた。
全身を覆う甲冑の為に表情などは見えないが、どこか呆然としたゴルベーザに、ルビカンテも驚く。何事かあったのかと、辺りに気を巡らせもする。
ゴルベーザは首を振るだけして答えて、俯くようにもして腰を下ろした。

――配下であるルビカンテに、おかしな姿を見せた。
だが、そんな事も意に介せぬ程に、ゴルベーザは苛立っていた。戸惑っていた。
そう揺れる自分に、そう乱れる自分に。ただ困惑し、ゴルベーザは己を持て余す。

(何故だ)

誰にともなく、答えを乞う。
ゴルベーザは頭を揺さぶり、惑いを振り払おうともする。だが、眼界に焼き付いたあの色は、輝きすらして意識を満たした。

(何故だ。――何故。何故だ。何故だ?)

ゴルベーザは混乱する。そう、まるで混乱していた。
目を閉じればまた、あの銀色が脳裏を過ぎる。
銀色が、彼を引き付けるのだ。…何故。何だ。どうして――ゴルベーザは、知らず呻いた。
ルビカンテは項垂れるゴルベーザを見て、思い浮かべ、考える。

「お気に掛かりますか」
「何がだ」

また問い掛ければ、放り捨てるようにして返されて、しかしルビカンテは構わず続ける。

「バロンの暗黒騎士であり、今は聖騎士の。あの剣士が、気掛かりですか」
「…」

――あの剣士。
ルビカンテに言われて、ゴルベーザは思い出す。元はと言えばバロン王に拾われた孤児なのだという、銀髪の聖騎士。
名は、セシルといった。

(セシル…)

その名をなぞれば、尚更にゴルベーザの心はざわついた。

「スカルミリョーネ、カイナッツオに続きバルバリシアまでも退けた彼奴らは、確かに脅威ではあります。が、貴方がそうも危惧される程のものではない」

ルビカンテは跪き、頭を垂れる。

「御前に立ちはだかるものは全て、我が業火にて灰塵となりましょう」
「…」

ゴルベーザは下座の紅い姿を見詰め、その二つ名の通り燃え盛るような色に見入る。
その紅蓮の――灼熱の、紅。

「…ルビカンテ」
「はい」
「紅はいい。意識の中でも炎となり、思考を灼き尽くしてくれる」

意味と意図とを計りかね、つい首を傾げたルビカンテに、ゴルベーザは、ふっと息を吐いては笑った。

「お前を好ましいと思う、と言っているのだ」

指してはそう告げられて、ルビカンテはやはり合点しかねて幾度か瞬き――程無くして目を見張る。

「ゴルベーザ様」
「…少し休む。しばらく任せるぞ」

遮るようにもして、黒が動いた。
ルビカンテの答えは聞かず、ゴルベーザはそれだけを言って玉座を立つ。

「…御意のままに」

上座を降りてはただ過ぎ行くゴルベーザを見送って、闇色の外套を纏うその背を見詰めて、ルビカンテもまた短く応えた。






かしゃん。歩みに揺れて、甲冑が鳴る。
がしゃん。機械仕掛けの扉が、重く閉まる。

一人きりとなったゴルベーザは、手持ち無沙汰に腕を組み、息を継ぎ――息苦しい、などと考えた。
着慣れた甲冑が、妙に重く感じられた。
ゴルベーザは己の兜に手を掛け、それを脱ぎ取る。無造作に結っただけの髪をも解くと、散らばる銀糸が軌跡を描いた。

「…」

ふと振り向けば、立て掛けられた大きな鏡とそれに映り込む己が見える。
長い銀色の髪。同じ色だ。彼と。

「…」

セシル。セシル=ハーヴィ。
今や聖騎士にもなった、バロンの剣士。あのカインとは、親友同士であったのだという。

「…カイン」

あれはどういう者なのか、セシルとはどういう男なのかと問おうとして、ゴルベーザは気付く。
ゾットの塔での、かの賢者との戦いとその顛末とを思い出す。ああ、そうだ。そう言えば、カインはもう居ないのだった。

「!!……ッ」

不意に視界が揺れ、ゴルベーザは目元を押さえる。
気分が悪い。息を吐いては呻き、抑えるようにもして己に触れた。指先には鋼が当たる。身に纏うそれらが邪魔だと感じて、その手の篭手も取り去って、投げ付けるように放り捨てた。

(私は何故…何を、苛立つ?)

ゴルベーザは己に問い掛け、深く息をして、気を散らすべく部屋を見渡す。塔を巡る機器が可動する音が、壁の奥からきりきりと聴こえた。
この分厚い金属壁を見詰めれば、風と大気を、空を大地を、何もかもを遠くに感じる。隔てられているのだと感じる。
つい先程にルビカンテと話したのが、遥か以前の事にも思えた。

「う…ッ」

眩暈がする。記憶が混濁する。
努めて思考を掘り返しても、記憶の中の風景のその総てに黒色を撒き散らされたような、そんな様にしか思い出せない。
ゴルベーザは言い知れぬ寒気を覚え、腕に腕を回して己を抱く。ばらりと髪が散り、漆黒の鎧に白銀が流れた。

動き続ける機器の可動音を聴く。
金属製の壁は、ひやりと冷たい。この暗室は酷く寒い。
此処には誰も居ない、私はひとりだ。
…そんな事を、考えた。

よろめいては鏡に手をやり、ゴルベーザはそこへ手を付き、姿見の向こうの銀色を思う。
脳裏を染める黒色を振り切り、銀色を思い出す。

(セシル…)

彼を思えば、胸の奥がざわめく。ざわつく。
渇仰のような思いに駆られ、ゴルベーザは鏡面を見据える。

(私は……)

鏡に映る姿に、彼を見る。己を見る。
懐かしい面影を、そこに見つけた。


「――――ッ!!!」


不意に走った衝撃に、視界が弾ける。
ゴルベーザの身の内を、何かが激しく駆け抜けた。

「う、あ…っ!!」

四肢の隅々にまで走る痛みに、身が竦む。
きん、と耳の奥が痺れ、酷く頭を揺さぶられ、ゴルベーザは堪らず床へ膝をついた。身震いをするままに甲冑が軋み、がたがたと肩当てが跳ねる。
耐えかねて両の耳を押さえようとも、耳鳴りは尚更に強まり、わんわんと反響する音に頭蓋が鳴いた。

「ぐ、あ……ッ!!」

そうして身体の中で波及する『何か』に、ゴルベーザはただ悶え、震える。
暴力的な轟音はやがて落ち着き明瞭にもなり、それは誰かの声なのだと漸く気付いた。


 ――ゴルベーザ。


不意に、名を呼ばれた。
ゴルベーザは顔を振り上げ、鏡に映る己と眼を合わせる。


 ――ゴルベーザ。


”声”が、名を呼ぶ。
ゴルベーザは魅入られたように鏡面を見詰める。
その身を覆う漆黒の鎧が――その暗い色が、黒く揺らめいて見えた。じわりと沸き立つ霧のように、黒い色が立ち上がる。鎧の黒が、ゴルベーザを包む。


 ――ゴルベーザ。


また、名を呼ばれる。
曖昧な黒はやがて歪に形を作り、背の側からゴルベーザを抱き締めた。

「あ…」

なだめるように、舐るように、黒い手がゴルベーザを撫でる。
指が髪を梳き、頬をなぞり、肌身に触れて愛しんだ。


 ――私のゴルベーザ。


耳の奥へ囁かれ、ぞくりと背筋が震えた。
ゴルベーザは我知らずに、触れて来る手に手を重ねる。


 ――ゴルベーザ。
 ――ゴルベーザ、ゴルベーザ、ゴルベーザ…。


幾度も幾度も名を呼ばれる。
ゴルベーザは見えぬ声の主を仰ぎ、また重ねて名を呼ばれて、はい、と頷き応えた。
手が手を取り、戦慣れして筋張る甲をそろりと撫でる。誰彼とも争う中で傷付いた、その痕の一つ一つを労わるようにして腕を撫でる。
虚空から生えた幾重もの手がゴルベーザの四肢を柔らかく包み、更に寄り添い掻き抱こうというのか、鎧の合間に指を差し入れた。
指先が留め具を外し、甲冑の部位がかたりと床に落ちる。殊更に手は動き、着込んだ衣服をも容易く暴いた。

「…あ、…っ」

五体を覆う介冑を解かれ、肌身を外気に晒されて、ゴルベーザは身を竦ませる。その肩を、その背を、その胸をその腹を腰部を、腕が覆った。
いくつもの掌が、指先が、薄く汗を引いた肌をなぞる。爪を当て、肉を掻き立てた。
怯んだ身体を慰撫するように抱かれれば、煽られもして鼓動が早まる。四肢の曲線を伝った汗を、指先が舐めた。


 ――私のかわいいゴルベーザ。


頭の奥で、”声”がさざめく。
絡み付く手の一つがゴルベーザの手首をふと掴み、それを下腹へと導いた。

「!!」

手が、ゴルベーザの手をそこへ触れさせる。
仄かに熱を帯びたそれを知り、何を、と戸惑うままにゴルベーザは宙を仰いだ。
上向く彼を別の手が撫で、腕に抱く。そうして更に手が伸びて、ゴルベーザにそれを握らせた。

「っ…!」

ただそれだけで、ぞくりと甘い痺れが背へと駆ける。緩慢に煽られた身体は、この性急な刺激に酷く奮えた。
手指の中で脈打つ、己のもの。手に手を押され、ほら、と促す”声”に躊躇を吹き消されて、ゴルベーザは手中のそれを緩く扱いた。

「は…、っ」

引き、押して、掌と指先とで己を焚き付ける。
背を竦めるようにして身を屈めれば、汗ばむ髪が重く枝垂れた。汗染みた掌が、染み出るものでまた濡れる。
淫らな水音、不様に乱れた己の呼吸。それらが耳を侵し、心を冒した。

「ふ……ぁッ…あ」

固く唇を噛み締めても、込み上げる熱さに直ぐに暴かれ、吐息が漏れる。銀糸の睫毛は涙に濡れて、赤く染まる頬に幾粒もの雫を落とした。
くちゃくちゃと滑稽に響く音。首に背に流れ落ちる汗。己を擦り上げる、己の手。
ああ。――深く、息を吐く。
欲望を手にして熱に震えながらも、頭のどこかでは冷静に――冷酷に、ゴルベーザは他人事のように今を傍観していた。


『手』なんてものは、本当には無い。


部屋には他の誰の気配も無い。ここへと這入り込める者など居まい。
囁く”声”に促され、なんら抵抗せずに服従し、自ら身の備えを解き、自ら床に跪いて――己で己を慰めているのだ。


「はっ…はぁ…っ」

沁みるほどに顔が灼ける。額から目にまで流れる汗に、瞼を閉じる。噎せ返るような熱さを言い訳にして、ゴルベーザは己から目を背ける。
機械仕掛けの塔の冷気が、時計を思わせる規則正しい機械音が、火照る吐息を際立たせ、否応にも羞恥を煽った。

「ふ、………ッ」

そぼ濡れる自身を己で煽り、浅ましい、と吐き捨てる事も出来ずに、せめて奥歯を噛み締める。
装備を失くした剥き出しの身体を、ひやりと冷めた部屋に晒して。ゴルベーザは床へ捨てた外衣の上に腰を落とし、背を屈めて、まるで身を潜めるようにもして己を慰めた。












嫌悪感で、気が狂いそうだった。

汗に濡れて頬に張り付く己の髪を、ゴルベーザは押し当てた手の甲で無造作に払う。そしてそのまま覆い隠すようにもして顔へと被せた手を、すいと撫でられたように感じた。
耳の奥が、ざわりとする。頭蓋の中へ息を吹き込まれる。


 ――ゴルベーザ。


ああ、”声”がする。
また”声”が囁く。


 ――ああ。お前には銀色が似合う。


”声”は話す。
ゴルベーザに語り掛ける。


 ――しかし例えば金色も、お前の色を引き立てるだろう。

 ――ああ。紅もまたお前の色に映えるだろう、だろうよ。

 ――だが、お前には漆黒こそが。漆黒こそが似合わしい。


言って、”声”は笑う。
けらけらと、げらげらと声を上げて笑う。


 ――可愛い毒虫、お前には黒が似合う。


”声”は笑う。嘲笑う。
ゴルベーザが目を開ければ、ふと視界に銀色が過ぎたように思えたが、気のせいだった。顔を覆う指の隙間からは、暗闇が見える。


 ――漆黒を纏い、屠るのだ。奴を。奴らを。総てを。


”声”は言う。
ゴルベーザは壁に肩から寄り掛かり、何処でもない虚空を見詰めて、はい、と答えた。


 ――いい子だ。


”声”が笑う。
冷えた壁に凭れた頭を、誰かの手に撫でられたような気がした。



<終>


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