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2017-01-01 00:05

■ゴルセシ看病ネタのような ※15禁※

■ゴルセシ。皇帝戦そして看病ネタのような。※15禁※

始まりは、もはや幾度目かとも知れない交戦のその最中での事。



ただ吹き飛ばされた聖騎士を声高に嘲笑い、皇帝は己の杖を翳しては地に伏した白銀を見据えた。

「絶対の君臨だ!!」

体勢を立て直すのを、待つ訳も無い。巻き起こる爆風の中、杖を掲げ、皇帝は更に高々と言い放った。
その手と声とが描く術式が瞬時に力を成して、大魔法が展開される。セシルは皇帝の術に自由を奪われ、地べたに身体を縫い付けられて――暴風のようにして吹き付ける魔力の奔流に翻弄されて四肢を震わせた。

組み上げられていく魔力が渦を巻き、離れた位置で場を見守るゴルベーザの元にまで波動は及んで、その背の外套をばたばたと強くはためかせる。
倒れた騎士と、それを見下す皇帝と。セシル一人では皇帝には敵わないという事か、時の運が向いた先がどちらであったのかというだけの話なのか。
何であれ、既に勝敗は明白で、もはや決着を見届けるまでも無い。もう終わりだ、とそう考えて。ゴルベーザは、そこでただかぶりを振った。



――あらましを語るなら、更に事象は遡る。


ゴルベーザについて何やらを取り調べようという事か、ただの気まぐれか。皇帝は彼を名指しで呼び付けると、

「コスモスに与する者らを野放しには出来ぬ。甚だ役不足ではあるが、私自ら出向いてやるとしよう」

などと言って、やけに豪奢なその杖を振っては示して、突き出した。
きらりと煌く尖端が、ゴルベーザの喉元を指す。

「貴様も付いて来い。ああ、しかし、余計な手などは出さぬようにな。興が冷める」
「……いいですとも」

ずいと杖を突き付けられて、要は従者の真似事をしろと言うその傲慢な振る舞いには呆れもしたが、ゴルベーザは異も無く従い、皇帝に同行した。逆らった方が、面倒だ。という、そんな思いも強い。
先を行く金色の、堂々とした姿。実際、皇帝は強い。繰り出す術はただ手早く、その魔力は強大だ。ああ、だが、しかし――多勢で相手を嬲ろうというよりかは幾分ましであると言えなくも無いが、ただ観客として引き連れて敵を弄ぶ様を見せ付けようなど、悪い趣味だ……。ゴルベーザは密かに嘆息をする。
それも――そうであろうと覚悟はしていたが、皇帝の指した標的は、ゴルベーザの実弟であるセシルだった。
金色が白銀を襲い、弄ぶ。その様を、兄である彼の面前に当て付ける。
本当にこの者は、何という……やはり腹を立てるよりも呆れてしまって、ゴルベーザは兜の内で苦く顔を顰めた。

皇帝は――それは別に彼独自の思惑という訳では無くそれがカオスの側の総意としての狙いではあるが(例外は無くも無いが)――その意向に基づき、コスモスの戦士達を必要以上に追い立てる事を良しとしない。
そうして手心を加える事すらも一つの余興として愉しんでいるという面もあるが、ともあれ、他のカオス勢に向けても、残る彼等を決して殺すな壊すなと徹底して言い含めていた。
だから、既に大勢が決した今、これ以上の追撃などは無用の筈だ。しかし、皇帝は時にその自尊心や己の策に酔う節がある。


ゴルベーザは睨むようにしてまた戦場を見た。
場を満たす魔力は次第に膨れ上がる。術式を重ねて刻み、更にその威力を高めていく。それは四方八方からの圧力となり、倒れたセシルを挟撃した。
強風が吹き荒れ、そこで佇むゴルベーザを大きく揺さぶる。この轟音の中で声など通る筈も無いのだが、しかし――セシルの苦痛が、悲痛な悲鳴として耳に届いた、気がした。









それ特有の甘い魔力が、余波という残り香となって辺りに漂っている――。

「”誘惑”が、おかしな具合に作用したようだな」
「何を呑気に構えているのだ……っ」

まるで椅子にでも腰掛けるようにして足を組んでは宙に浮かんで、ふむ、とただ頷いた皇帝を、ゴルベーザは眼光鋭く睨み、責め立てた。

「何を、とはこちらの台詞だ。これは貴様のせいでもあるのだぞ」
「む……」

心外だとばかりに肩を竦め、むしろ揶揄するようにもして横目を使う皇帝に、ゴルベーザは低く唸り、黙り込む。

石畳に膝をついたゴルベーザの腕には、力無く寝入るセシルの身体がある。ゴルベーザはセシルの肩を抱いて支えつつ、それを眺めては笑う皇帝をまた睨んだ。
皇帝は怯みもせずに、やはり笑う。そして手を挙げ、ゴルベーザを指差した。

「貴様の横槍のおかげで、術式は不完全で度を外れたものとなり、故にこうして想定の範囲外の結果となった」

――ああ、そうだ、貴様のおかげでだ、と皇帝は己の言葉をなぞって強く繰り返す。

「全く、確かに少しやり過ぎたとは思うが、口でやめろと言えば良いのに、我が城の城壁を引き剥がして投げ付けるなどと……何という狼藉。何という蛮行。貴様は一体何者だ、ギガースか、タイタンか何かか?」
「……」

尚も続く皇帝の叱責。しかし口調に殺気だとかそうしたものは感じられず、単にこうしてねちねちと人を苛む事そのものが目的なのだろうと解釈して、ああ、申し訳無い、すまなかった、などと言って返すだけをして、ゴルベーザは皇帝の言を聞き流した。

荒い呼吸。衣服越しでも分かる、酷く熱いその身体。ゴルベーザは手をやり、セシルの額に胸にと順に添え当てる。
魔力をそこに集中し、セシルの具合を知る為だが、それを脇目にしていた皇帝は、馬鹿めが、などと吐き捨て、仰々しく肩を竦めた。

「何を遠回しな……。この残滓を見て取れば、事態や症状なども直ぐ分かるだろうに、弟が大事ならばいちいちそのような手数を掛けるよりも何よりも、真っ先に処置をしてやれ」

皇帝は片手で宙を掻き混ぜて、手の中に魔法の余韻を絡め取った。もはや術の残骸に過ぎないそれは、直ぐに音も無く砕け散る。

「……解呪の、方法を」

ゴルベーザは皇帝に倣うようにもして、甘い余風に意識を向けて、その性質を読み解こうとした。

「無駄だ、これは呪術の類では無い。既に燃え移った火を消す為にと今更火の元を視て、どうするのだ?」
「……」

しかし、きっぱりと切り捨てられて、ゴルベーザは再びセシルへと視線を落とす。
その額に首筋にと玉となって浮かぶ汗を、手套の腹で拭ってやる。苦しいのだろうか、セシルは閉ざした目元を歪ませて、絶え絶えに息を吐き――触れるゴルベーザの腕を掴んだ。

「……う、あ……ッ」

セシルは薄く目を開けて、焦点の合わない瞳を涙で濡らし、か細く喘ぐ。震える肩をより近く抱いてやれば、縋るようにしてゴルベーザへ身を寄せた。

「空腹の者に対し、食物を与える以外に何をすべきだと言うのだ。捨て置けば、満たされぬまま心身すら病むぞ」

皇帝は言う。

「ああ、そうだ、異状が治まるより先に、蝕む熱に焼かれて気が触れるやも知れぬな……?」
「――どうしろと言うのだ」

思わず声を荒げたゴルベーザに、皇帝は、おや、と呟くと軽く目を見張った。

「らしくも無いな、貴様が他者に答えを乞うか」
「無駄口を利く暇は無い」
「そうだな、大事な駒を無駄に失う訳にはいかない。火の事を言うなら、実に簡単な話だ。猛るその火を鎮めてやれば良い。火照った身体が冷めて治まるまで、相手をしてやれば良いのだ」
「……」

ゴルベーザはもはや顔も上げず、ただセシルに見入る。
恐らく今は何も見えてはいないのだろう、厚く濡れた瞳を虚空へと向ける弟の、その頬に張り付いた髪を払ってやろうとするが――皇帝のその指摘が気に掛かり、赤らむ頬に触れてやる事がどうにも躊躇われて、差し出した手を宙に彷徨わせた。

「何を悩むのやら。それ用に、側女でも何でも呼び付ければいい……ああ、ほら、貴様の配下に風の何とかという女が居たではないか」
「そんな事をさせられるか」
「身内には甘いのだな、貴様は……」

――このやり取りに飽きて来たのか、どうでもいいとばかりに横で言い連ねるだけの皇帝に、ゴルベーザは堪えかねて兜を振り上げる。

「無駄口を利く暇は無いと言った筈だ……!」

つい息巻いて強く声を張り上げるが、振り返ったそこにはもう皇帝の姿などは無かった。

転移魔法の跡である空間の歪みだけが、煙霞のような形となってそちらに僅かに見て取れる。
それも直ぐに消え失せて、後にはゴルベーザとセシルの二人だけが残された。

「……」

何の事も無い、皇帝はこの場に本当に飽きたのだろう。それだけだった。
ゴルベーザは唖然としてしまい――それから気付いて、慌ててセシルの様子を確かめた。ゴルベーザの腕を掴む手は弱く、喘ぐ声すら今は無い。
振り返っては振り向いて見渡し、辺りを窺ってもみるが、回廊と壁とが続くばかりで、休憩をする場所どころか、そもそも居室と思わしきものは見当たらない。
ゴルベーザは考えてから、片腕を振り上げて印を刻んだ。

「……参れ、黒竜」

力の発動。空間を裂いて現れた、その音。その漆黒。
瞬時に応えて現れた黒竜を腕に纏わせて、その顎などを撫でてやってから、手の動きで指示し、背を下にした形で床へ横たえさせる。
戦う為のものをこういう形で使うというのもおかしな話だが、他には手段が思い付かない――丸く伏した竜の腹に寝かせてやろうとセシルを抱えると、離れたくは無いというように身を倒して、ゴルベーザの胸に凭れた。
酷く灼けた身体には冷たい鎧が心地好いのか、セシルは甲冑の胸板に頬を擦り寄せる。

「セシル」
「……にい、さん……?」
「気付いたか。ああ、私だ。……安心しろ」

言って、セシルの髪を撫でて、彼を黒竜の腹の上に寝かせた。
手離す前に手を掴まれて、ゴルベーザはそれを握って返す。努めて力を抜いたつもりだったが、セシルはびくりと身体を震わせた。

「あ……っ」
「! すまん、痛かったか?」

セシルは首を横に振り――そうでは無い、とそう言って。

「何だ、では、どうした……どうすれば良い?」
「ごめん、兄さん……」

ああ。ゴルベーザは焦る己を省みて、少し間を置き、語調を改めた。

「謝るな……辛いのだろう、装備を解くか?」
「……ごめん」

とは言え、先ずはどうすべきかを考えあぐねて、ゴルベーザは兎も角としてセシルの肩当てと胸当てとを急ぎ外してやる。
取り外されていく硬い鎧。それが床へ置かれた音――ああ、にいさん。順にそれをする兄の手をただ目で追っていたセシルは、遂に堪えが利かなくなったか、呻いて首を竦ませて、大きく身体を震わせた。
ゴルベーザは驚き、俯く弟の顔を覗く。セシル?……兄さ、ん。苦しむよりも呆けたような表情でセシルは兄を仰ぎ、熱く、熱を孕んだ吐息を零した。

朱を滲ませた肌を濡らす汗に、甘い匂いが入り混じる。媚薬の香りだ。
”誘惑”が、おかしな具合に作用をしたようだ――皇帝の言葉を思い出す。

その明け透けな芳香にでは無く、そうした事実にこそゴルベーザは衝撃を覚え、息を呑んだ。セシルは乱れた調子で息を継ぎ、力無く肩を落とし四肢を垂らして――もじもじと腿を擦り合わせている。
媚毒に冒されたその瞳が、今も震えるその身体が、熱を持て余して乞い掛けている。「欲しい」のだと。

欲情している。それは、明らかだった。あからさまだった。

魔術の変異のその余韻は、辺りに漂ううちに咲き誇る花を思わせる程に匂い立ち、粉を撒いては輝いて、そこに居る二人の目を眩ませる。ゴルベーザは熱を帯びては張り詰めるセシルの頬に触れて、涙のようにもなって伝う汗を手套で拭った。

「…………自分で、出来るか?」

それもまた、見て明白だったが、敢えて訊く。
精一杯に言葉を選んだつもりが、口をついて出たのはあまりに露骨なそれで、ゴルベーザは己こそが床に突っ伏したくもなる。セシルはゴルベーザがそうなのだろうと予想をした通りに、首を横へ振り――

「して……欲しい」

そんな事を言った。まるでうわ言のような不確かな声で、ゴルベーザは聞き流してしまおうかとさえ考えたが、それを振り払う。
――もう二度とセシルを見捨てたりはしない、そう誓った。誓ったのだ。
そう繰り返して思うゴルベーザを、熱に濁った瞳が見上げた。同じ色の、瞳。自分の弟。その背後から、黒竜が鎌首をもたげて顔を覗かせる。

「……こちらを見るな」

ゴルベーザは手套を外し、放り捨てて。黒竜の首を、奥へと押し退けた。






帯革を解き、下衣をはだけて手を差し入れる。
今更もう躊躇いはせず、既に屹立としたセシルのそれにゴルベーザは手を添えた。

「あ……っ」

竜の頭身に身を預けて、セシルは震えて。ゴルベーザの手中のそれも、待ち焦がれたというようにして応じては先端から先走りを滲ませた。
熱く、硬くいきり立つものを掌に見て、セシルの頭や頬を右手で撫でてやりながら、雫を指先で掬う。それを潤滑油のようにして、ゴルベーザは手を上下にした。

「……好い、か?」

毒に冒され、情欲だけを煽られた身体。より熱くなる下肢のそれ。
兄に問われるままに、セシルはこくこくと頷き――身の内からの熱さに咽て、涙しては鼻を啜り、しゃくり上げた。
ああ、……あ、ああ……っ。軸を擦り上げられる度に高く声を上げて、快感に身を捩る。ただ乱れて、それを恥じ入るような様子も無く、兄の手で与えられる明け透けな刺激にセシルは下肢を奮わせた。
淫らに熱く濡れていく、手にしたその感触、セシルの声、汗染みた肌――ただ甘い、それらの薫り。
どれもが媚毒がもたらしたものなのだろうが、どうであれ弟の恥態から目を背ける事も無く、ゴルベーザは泣きじゃくる彼を慰めた。

「あ……っ、に、いさぁん……!」
「……今は、私を呼ぶな」

それでも何もかもをとは受け入れ難く、ゴルベーザは仰向けに寝た身体に覆い掛かり、竜鱗に手をついて身を寄せて――平静を失くした彼にも聴こえるように、その耳元へ囁いた。
……兄でも、弟でも無い。今だけの事だ。ただ、吐き出してしまえ。

「く、あ……っああ……ふ……あああ……っ」

酷く鼻に掛かった、セシルの声音。荒れた息遣い。
言葉などで乞うよりもずっと露骨に、大きく左右に開かれた足。惑う瞳が、ゴルベーザの甲冑の黒を映す。
――好いのかと、また訊いて。ゴルベーザは濡れた掌で先端を包み、そこを円の形に撫でてやる。ぬちゃぬちゃと卑猥に粘着く音。箍の外れた、甘い嬌声。
出してしまえば直ぐに楽になるという事でも無いのだろうが、好いようにしてやりたい。真っ赤に染まったセシルの頬を濡らす、涙の筋。本来の法式を外れた魔法がどのように作用して、どれだけの苛烈さをもってセシルの身を苛んでいるのかは、ゴルベーザには計るべくも無い。
言葉にならない声を漏らしては喘ぐセシルの口元へ、せめて堪えになればと片手を被せた。

「辛ければ……構わん、噛め」
「ふ……ぅ……んっ……!」

そうして、棹を扱いてやる。蕩けた声と、表情。指では先を弄り、握り込んでは擦って。
乱れた吐息。ぼろぼろと頬へ零れる涙。ゴルベーザはただ目線を落とし、ただ黙り、セシルを愛おしんだ。糸すら引いて歓喜に濡れたセシルのそれが、遂には限界を訴えて、ゴルベーザの手の中で強く痙攣する。

「……ん、うう、んぅ…………ッ!」

セシルは深く差し俯いて、身悶える。
口にしたゴルベーザの手に歯を噛ませて――打ち震えた。










ああ。ぼんやりとした頭で、先ず目に映ったそれを見て取る。
そいつはセシルの肩に前足を置き、セシルの様子を窺おうというように、その鼻先をそちらへ向けた。
黒い……竜。これは、確か、兄さんの。ぼんやりと思い返して、セシルは順に順に物事を確かめる。
どうして自分は黒竜を背になどして寝ているのか、とか。熱でもあるのか酷く気だるい身体の理由や、横手にきちんと重ねて置かれた聖騎士の甲冑の事や、微動だにせず壁へと向いてセシルには背だけを見せる兄は一体どうしたのか彼もスコールにそのような事を言われたのかとか、それを考える。
考えて、あの時鼻腔に感じた甘い香りを思い出した。セシルは薄く細めていた目を、直ちに見開く。
……あの時、と。それに気付けば、爆ぜたようにして忽ちに情景が脳裏へ立ち返った。

「……」

あの時は。意識に霞が掛かったかのような夢見心地になっていたが、なのに奇妙に鮮明に思い出せる。あの時の、あの――手を、覚えている。
セシルは、兄の手の感触を振り返る。それがどこへどうして触れたのかを思い返す。頭に血が上り、顔が熱く朱に染まるのを感じた。
して欲しい、と懇願した覚えもある。それを振り返り、思い返す――ああ。思わず、叫んでしまいそうになった。恥ずかしくて。戦慄く唇を努めて結び、じっとしてもいられなくて、セシルはどうにかそこから身を起こした。
その気配にもゴルベーザは動かず、だが身動ぎくらいはしたのだろう、分厚いその外套が僅かに揺れて弛んでいる。

「…………あ、あの」

つい膝など抱いて縮こまり、二の足を踏みに踏みまくり、意を決してセシルは口を開いた。

「あの……にいさ、」
「――皇帝の”誘惑”が、そのように作用してしまったのだ」

そうしたつもりでは無かったのかも知れないが、セシルが言うのに割り込む形で、そこの壁にでも話し掛けるようにしてゴルベーザが呟いた。

「だから、お前は何も悪くは無い……」

セシルに対してか、己に対してか。言い聞かせるような調子で言う。
そして、その己の言葉が後押しにでもなったのか――堰を切ったように、ゴルベーザは続けた。

「強いて言うのなら、いや他の手段やそれ以外の解決策などを見い出せなかった私こそが悪いのだ……」

常ならば魔術を吟ずる口が、詠唱では無く自省をして、語りに語る。

「つまりこれもまた私の罪だと言えるのかも知れない、またもお前を貶めるようなそのような事をしでかして、ああ、やはり私にはお前と向き合うような資格は無い、堕ちるまでも無く既に底の底へ堕ちているのだ、やはり私にはそういう悪しき心とどうしようも無い弱さとがあるのだと――――」
「えっ……皇帝の”誘惑”には、そんな効果が……!?」

――今度はセシルが兄を遮り、声を張り上げた。
壁へと兜を打ち付けそうな勢いのゴルベーザに、兄のその言葉を顧みては思考に沈むセシル。

「それは……そんな、こんな……ああ、そうだ、皆にも特に注意をするようにと言っておかなくちゃ……」
「…………本当に、お前はいつも仲間の事ばかりだな……」

どうしよう、ああ、そうしなくては、などと一人で言っているセシルに、漸くゴルベーザが振り返る。別にそう取り乱してもいないし落ち込んではいない事に安堵はしつつも、複雑な気もして声を潜めた。
……まぁ、いい。それならいい。それでいい。ゴルベーザは繰り返してそう考えた。





「ねぇ、……兄さん」

膝を抱く手はそのままで、何処へとも無く顔を逸らして、ぽつりとセシルが漏らす。
ちらりとだけ仰向いて、直ぐにまた俯いて。そうして、また小さく口を開いた。

「……ごめん」
「………………うむ」

セシルは立てた膝に顔を伏せて、背を竦めて丸くもなり。
ゴルベーザは手持ち無沙汰にしていた腕を組み――手の歯形を、殊更に覆い隠す。
身体の向きは合わせていても、互い違いに彼方を見詰めて。そんな姿を、両者の間に首をもたげた黒竜の円らな瞳がじっと見詰めていて。

「……こちらを、見るな」

余所へと向いて固まるままで、ゴルベーザがまた同じように言った。



<続>
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