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2017-01-01 00:58

■ゴルセシ

■ゴルセシ。Wolさんの奇行。

広く外套を翻し、魔人は眼下の彼を見る。
その威容。それに気を取られたか、ああ、気を取られたのだろう――走る足を緩めては宙の黒い甲冑を窺う騎士へと、偽りの兵士が駆けた。
――甘い、とゴルベーザが考えたのは、そうして足を止めた騎士に対してか、すぐさま騎士の窮地を目指す己に対してか。兵士は剣を振り上げて兵士の剣が騎士へと下りて兵士の刃が彼を突き貫くのを想像して、溢れ出る血の赤を連想する。そして、震えた。
こんな時に、はっきりと自覚した。魔人は己の想いというものを思い知る。ゴルベーザは手を伸ばし――救い出した白を、抱き竦める。

「兄さ、ん……?」

配下のイミテーションを打ち砕き、敵方の彼を庇って守る。己は何を、とゴルベーザは正気に返るが、兄さん、腕の内に引き入れた彼のその声を聴けば、惑いも晴れた。
セシルは、驚いた。そうして直ぐに「兄が助けてくれたのだ」と思い至った、だから、セシルも兄に抱き付いた。

やがて、そうして――どうして。ああ、場の勢いに流された。触れた互いに、絆された。理屈を繰り出し筋合いを漁り、言い逃げるべく口実を探すが、愛しいセシルの無事への安堵こそが何もかもを凌駕して、それ以外の全てに対し、ゴルベーザはもう、どうでもいい、何だっていい、などと。
良かった、ああ良かった。安心した。ゴルベーザは必死にもなって助け出した弟を、ひしと強く抱き締める。
兄さん……ああ、セシル。ありがとう。いいや礼なんていい、無事で良かった。良かった、本当に。そうした思いに想いが煽られ――盛り上がってしまった。盛り上がってしまったのだ。

互いの姿態に、伏して浸る。

暗がりになだれ込み、互いを見て確かめて安堵をして恋しさに血迷う。鎧を脱いで落とした音、布が擦れる音。触れれば震え、触れられれば奮えもする。
――して、欲しい。消え入るような声でそう言われた。求めては恥じらうセシルの赤らむその顔に、ゴルベーザはただ頷いてそれに応える。
乞われて焦がれて、手篭めにするかのように荒く抱いた。

「やっ……兄さん、にい、さ……っん……や、……あ……ッ」
「っ……セシル」

泣きじゃくる騎士の痴態が、魔人を煽る。より昂ぶって、冷める事も醒める事も無く、喰らう。
ああ、欲しい、と言葉を借りて繰り返して、ゴルベーザは弟を抱いて。セシルは泣いた。

「駄目、だよ……、らめっ……にん、しっ……妊娠、しちゃう……ッ!!」













――あれは果たして、何だったのだろうか……改めて思うべき事でも無いが、ああ、無いのだが、ゴルベーザはそれを考えてしまう。
余韻やそんなものの中で、裸身のままでそこに居る。そして、セシルは真っ赤だった。汚した外套を引き上げて顔の半ばまでをそれで隠して。変な事を言ってしまった、という覚えが当人にもあるのだ。だから。

「兄さん……。だ、大丈夫……僕は全然、正気だよ……」

セシルはやがて、「実は」と話を切り出した。




いつだったかな……とにかく、結構前の事なんだけど。
そう前置きして、セシルは語る。

「彼がね」
「彼?」

それだけ言われても分からない、ゴルベーザは首を傾げる。
いや、それよりも、とゴルベーザは弟を窺う。セシル、何故、そこで目を逸らすのか。どうしてそこで顔を赤くする?

「……ああ、彼はまだ名前が分からないそうだから、僕達の間では、リーダー、なんて呼んでいるんだけど……」

言われて、ゴルベーザは例の光の戦士を思い浮かべて、頷いた。

「その……彼がね、皆を呼び出してさ」

皆、とは言っても、オニオンナイトとティナやバッツ達は出払っていたから、その時その場に居た残りの僕達四人だけだけど――セシルは言う。

「……誰かが彼に、飲ませたのかな。かなり酔っていて。あんな彼を見たのは、後にも先にもあれきりだよ。だから、余計に印象強いんだろうな……」

それを話すセシルのその顔は、ますます赤い。おい、何なのだ。ゴルベーザは密かに焦れた。





僕とティーダとクラウドと、フリオニールと。
並んで座った僕らの顔をぐるりと見渡し、光の戦士は言った。

「避妊はするべきだ」

……。明らかに真っ赤に焼けている顔色とは裏腹に、はきとした言葉。だけど、居並ぶ僕らはそれを全く飲み込めず、いや、だって、聞き違いかと思って隣同士で顔を見合わせた。
ざわめく僕達に全く構わず、戦士は話す。

「愛ゆえの行為とは言え、ただ無計画に無軌道にそれを成すのは、好意を逸脱した蛮行だ」
「……」
「真に相手を想うのならば、自重をすべきだろう。すべきではないか。そうだろう、フリオニール」
「……はっ!?は、はい……っ?」

突然に話を振られて、フリオニールは弾かれたように顔を上げ――慌てて頷き、そうだそうですねと繰り返す。

「うむ」

彼も、深く頷いた。
――とにかく僕らは、理解した。彼は酔っている。それはもう、これ以上は無いという程に酷く。

「中に出さなければ平気だとかいうのは、馬鹿な男の勘違いだ。やれば出来る。当たり前だ。だから、避妊はすべきだ」
「……」

彼の話は続く。いやそれが酔ってるからという事なんだろうけど、でも、何で、どうして、この話題なんだろう……って思う僕らを置き去りにして。

「後になってから責任を取るとか取らないとか、そんな事を言う事自体がおこがましい。そもそも婚前交渉を行うという時点で浅慮であり軽率であり無思慮であり、だからこそせめて避妊はしろ。それは男が男としてすべき事なのだ」

有無を言わさず、間を置かず。明け透けに率直に、ただただひたすら続いた。続いたのだ。
飲ませたのは誰だよバッツかもう二度とこの人に深酔させるなと密かに口々に諭し合っては、鋭い視線(目が据わっているとも言う)に、はい!と僕らは皆で畏まって。





……言い終えて。己の説明に赤面し、セシルは視線を泳がせる。

「確かに大事で真面目な話だけど、聞いているうちに、その、恥ずかしくなっちゃって……それで、それが変に凄く印象に残ってしまって、だから、ほら、それで多分、つい………うん」
「……」

ゴルベーザは――短く重く、呟いた。

「つまりは、私は奴を殴れば良いのだな」
「えっ……えっ!?」









ああ。ただの本当に変な話ではあるがそれでもそんな事より、自分は一直線に一途に想っていたのにそこで別の男の言葉を頭に浮かべていたなんてああ凄く嫌だ本当に変な話だ嫌だ、という。




<終>

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