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2017-01-01 00:05

■たまねぎ→ゴル←セシル

■たまねぎ→ゴル←セシル。僕の兄さん。
「……あの人が、僕に道を示してくれたんだよ」

少し照れ臭そうにして、オニオンナイトが言う。

「今にして思えば――あの時、おれにも何か、教えようとしてくれてたんだよな、あの人は。クリスタルの事とか、おれ自身にとか」

なのに、ああ、悪い事しちゃったな。決まり悪げにバッツが言う。

窓辺に立つオニオンナイト。椅子に腰掛けたバッツ。二人を眺める位置にはセシル。三人は、三人で話をする。
ゴルベーザが助けてくれたのだと、手を差し伸べてくれたのだという。二人からそれを聞いて、セシルは己の兄を誇らしく思い――それを話す彼と彼とに、少し妬いてしまった。
回想を語るオニオンナイトの声音は、その兜の天辺で揺れる羽飾りのように軽快だ。「優しい人だ」と、彼は言う。セシルは厳しいばかりの兄しか知らない。
見た目はちょっと、怖いけどね。ああ実際怖いぞあの人、降って来るのは拳骨じゃなくてメテオだもんな。兄との事を言う、笑顔の二人。セシルにはこうして晴れやかに話せるような兄との思い出が無い。
優しくて怖い魔人の話を、二人でする。兄が彼らを助けたのだと、手を引いてくれたのだと、そうセシルは聞いて。ずるい。兄さんは、僕の兄さんなのに。なんて事を考えてしまった。
何を馬鹿な、とは思う。僕は何を馬鹿げた事を。けれど、どこか乾いたセシルの中に点された火はただ燃え広がる。
それが、顔にも出ていたのだろう。

「ああ、何だセシル、兄ちゃんを取られた!ってヤキモチか?」
「……」

バッツはいつも騒がしい程に元気で、だけど言い振りなどは緩やかで穏やかで、それでいて鋭い。
(実は凄く複雑な人なのではないかと思う)

「違うよ」

セシルは軽く笑って受け流し、何でも無いという顔をしてバッツを見詰めた。
身を乗り出していたバッツは、にこりと笑うセシルの瞳を覗き、その顔色などを窺い、何も言わなかった。
やけに大袈裟な身振りをして立ち上がり――おれは旅を続ける、そう言ってバッツは引き下がる。挨拶代わりにぱたぱたと手を振って、大股で歩き出して。
大きな足音、そして扉を開けては閉める音もまた大仰で。騒がしいなぁ、と肩を竦めたオニオンナイトと顔を合わせて、だってバッツだものなんて言っては二人で笑った。

「……」
「……」

そこでそのまま目を合わせる。
先程の話を振り返り、恐らく、多分、相手もそれを考えているのだろうと考える。
――兄さんと、彼はどんな事を話したのだろうか。セシルは本人にそれを尋ねてみようかと思い、しかし何故だか躊躇をした。
窓からの風に、小さな騎士の兜の羽飾りが揺れる。勇ましいと言うよりかは愛らしいその装いを見て、セシルからしてもずっと小柄なこの騎士がああも背丈のあるゴルベーザと居並ぶ所を思い描いて。赤と並ぶ黒を思い浮かべて。
彼と兄との事に、部外者である僕が口を出すべきでは無い。いや、そんな大袈裟な話では無いだろう、難しい事でも無い、ただ尋ねてみれば良いじゃないか。己の中で己に問い掛け、セシルは二の足を踏み続ける。

「……」

ふと首を傾げて、セシルを窺うようにして――お兄さんの事、気になる?と、オニオンナイトが言う。見透かされたようで、セシルはどきりとして唇を結んだ。

「うん。僕も、気になってる」

セシルの、お兄さん……あの人の事。
オニオンナイトが言う度に、セシルはどきりとする。

「――あの時の僕は……ホント、駄目だった。口ばかりで、色んな事が見えて無かった。だけど、そういうどうしようもない僕に、あの人は叱るんでも無く、ただ諭してくれたんだ」
「……」

ああ、兄さんはなんて優しいんだ――僕の時には、問答無用でいきなり攻撃して来たりしたのに。
バッツもそうされたのだと言っていた。容赦無いよな!と身振り手振りで語るバッツをセシルは思い出す。
小さなこの彼には、優しいんだ。弟みたいだとか、そんな風に思えたのかな、もしかして。
ぴょこぴょこと揺れ動く、オニオンナイトの兜飾りを眺めながら、自分やバッツを打ちのめしたあの物々しい手でもってこの子の頭を撫でてあげたりなどしたのだろうか、と想像した。
そうして、じっと見詰めていたのに気付いてか、オニオンナイトはまた面映げにして笑う。ごめんなさい、なんか、浸っちゃって。やや赤らんだ顔での照れ笑い。兄との事を話す彼は、微笑ましい。それが凄く妬ましい。
――ああ、僕はなんて奴だとセシルは唸る。

「……兄さん、かぁ。いいなぁ」
「……」

オニオンナイトが、ぽつりと漏らした一言。それにまた引っ掛かりを覚える。
セシルはまるで自制を出来ない。そんな自分に呆れてしまって、自棄にもなってしまう。

「僕にも、一緒に育った兄弟みたいなのは居たけど、兄っていう、そういう人は居なかったから」
「……」
「だから、それに憧れがあった、って訳でも無いけど……でも、ああ、兄さんっていうのはこんな感じなんだなぁって、格好良いなぁとか頼もしいなぁ、なんて思えて――」
「駄目だよ」

言われて、言って、また向き合って。
青と赤が向かい合い、騎士は騎士をただ見据えて、それは駄目だ、と重ねて告げる。

「兄さんは……僕の、兄さんなんだから」

君にはあげられない。譲れるものか――と。セシルはそれを言ってしまってから、あっ、と声に出しては慌てた。
ああ、いや、あの、何でも無い。ごめん。上手く言い消す事も出来ない。己の言葉を思い返して、セシルは赤くもなる。口ごもっては呻いてしまう。
恥ずかしい、なんてものじゃない。顔から火が出そうだった。僕はなんて事を言ってしまったのか――そう思って、そう考えて、本当に自分は馬鹿でどうしようもないという気分になる。実際、その通りなのだろう。
ああ、僕は、僕って奴は。セシルは二の句を迷い続ける。もう駄目だ、一目散に逃げ出してしまおうか、なんて事まで考えた。

「……嫉妬とか、するんだね」
「えっ?」

たまねぎ剣士は、そこに突っ立つ聖騎士をまじまじと見詰めて――セシルはただ小首を傾げるのみで、君のその感想の含みは「驚いた」か「やっぱり」なのかどちらなのかと尋ねる事も出来ずに居る。
――ヤキモチか?とはバッツに訊かれた。セシルはそれは違うと言っては笑った。だけど今は笑えない。二人は二人で見詰め合う。否定もせずに、セシルは彼を見ては兄を思う。
オニオンナイトも何も言わない。ブラコンだとかと茶化したりはしない。真っ直ぐに真剣に、セシルを見据えた。

「――あの人は」
「兄さんは……」

同時に言って、また見合って。

「……ちょっと怖いけど、でも凄く強いし格好良いし、素敵だと思う」
「うん」
「……」
「……」
「それに、本当は凄く……優しいし」
「――知ってる。だって、僕の兄さんだもの」

小さな騎士を見下ろして、小さな騎士に見上げられて。
二人よりも遥かに背丈の高い魔人の、大きなその手を思い出して、手の平側は黄色で黒い手套を思い返して。ああ、あの人はその手で、きっと。

(あのふわふわの羽飾りを撫でてあげるのだろう)
(あのふわふわとした髪を撫でてあげるのだろう)

お互いにそれをそうと想像をして、微笑ましくも苦くもなった。




<終>
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