2017-01-01 20:22

■混沌サイド24710

■混沌サイドの24710が月兄弟を語る。
混沌たる所以、というのは、顕著である。
あれもそれも、奴もあいつも……そして恐らくは己も。





「実の弟だ、だから、信じ込ませる事などは容易い――だったか」

ああ、ゴルベーザよ。そうと言ったよな、貴様は。
ああ、そう言ったな、確か。
いや、確かにそう言っていた。
ああ、そうだな。

皇帝の手にした杖が弧を描いて翻り――魔宮の床をこつりと叩いた。

「……ならば、もう少し優しくしてやったらどうだ?」
「何をだ」
「突き放すのが、貴様流の愛情なのか?それで弟がなびくとでも?それとも貴様らはまさか兄弟揃ってそういう趣味嗜好なのか……?」
「そなたは、疑問が多いな」

問い掛け、尋ね掛け、皇帝はゴルベーザを睨む。
だから。疑わしい行動をするな、と言っているのだ。杖の尖端が、ゴルベーザを指した。
弟を謀ろう誑かそう、というのはただの口だけか?突き付けるようにして更に問われて、ゴルベーザはその兜を左右にする。

「――ただ甘くするばかりでは、あからさまに罠そのものではないか」
「それはそうだが、騎士とかそういう堅物こそ、露骨な甘味には弱いものだ」
「私は、そなたのようには口が回らぬ。下手をしてつまずくよりかは、回りくどくても堅実な手段を選びたい」
「……まぁ、確かに、貴様は下手そうだな。そういう方面では、特に」

ああ、うん。皇帝はまた杖を翻し、そう頷いた。

「妙な納得の仕方をするな……」
「だが、あの弟はそう荒っぽい方が好みかも知れんぞ」
「何の話だ」
「うぶを気取るな、人は人らしく、情欲には素直であるべきだと思うぞ」

何の話だ――ゴルベーザはまた尋ねる。

それはほら、そういう話だ。綺麗な弟だものな。
だから、何の事だ。
常日頃から、あれを想っては悶々としているくせに。
馬鹿を言うな。
――しっかり分かっているではないか。
…………。

ああそうだ。
そうだそう言えば、と幾度か頷いて、皇帝がまた杖で床を叩く。

「ちょうどいい、質の良い媚薬があるのだが」
「……そんな物を、どうしろと言うのだ……」

どう、とは。何を訊く事がある?
…………。

それは胡散臭い笑顔で、皇帝は言う。

「堅物こそ、甘味には弱いものだ」
「……」

ああ。
同じ事を、二度も言うな――ゴルベーザはまたかぶりを振って、頭痛がするのを振り払い、やたら輝かしいその金色から目を背けた。














いっぽうそのころ……。



「――それがその実、奴にとっての愛なのだろうな」
「何だよ、お前。興味無いとか言っておいて、しっかりちゃんと聞いてるじゃねぇか」

セフィロスと、ジェクトと。
上階から下を見下ろし、そこで話をする金と黒とを眺める。
あの金ぴか皇帝様が、あいつ相手に喧嘩でも吹っ掛けるのかと思ったら……ああ、俺もその辺はツッコミたかったんだよな。そう言って、それを無言で聞いて。
偶然居合わせ、何とも無しに二人で二人を窺っていた。

「突き放すのが愛情表現、ってヤツか」
「安直な発想だ」
「おい、頑張ってる奴を笑うってのは、性格悪いぞ」
「ありふれた、……いや、月並みだ、とでも言うべきか」

お前な、こっちの事はまるで聞かずに勝手に話を続けるっていうその癖、絶対直した方がいいぞ。
よくある話だ。
いやだから――何だよ。

「童話だの寓話だので、使い古された話だ。よく、あるだろう。愛し子を敢えて見捨てるという、そんな筋立てで」
「うん?」
「保護をした幼獣などを、野性に帰す為だとか仲間の元へ戻す為だとかで、わざと冷たい態度を取って、それでも追い縋るのを振り切って、という……」
「ああ。あー、うん――――……」

言われて頷き、思い浮かべて。
ああ、うん。アレだよな、こう、恋しさでその小っこいのが必死でぴーぴー鳴いて泣いて、でもそいつを置き去りにして、それがお前の為なんだと涙を呑んで、ごめんよなんて思ってホント涙目で耐えて背を向けて、っていう、そういう――そこまでを想像して。
堪えかねたというように、ジェクトは噎せて咳き込んだ。

「……すまん、吹いた」
「言わなくても分かる」
「いや、なんか、つい……ああ、それこそ笑う所じゃないんだが、何つーか、なにそれ可愛いじゃねぇか、っていう」

息を吸ったり吐いたり、また咳をしたり。苦笑いをしたりもしつつ、どうにか呼吸を整えようとするジェクトと、相変わらず大して反応をしないセフィロスと。

可愛いか。
可愛いだろ。
可愛い、か。
ああ、って、何言ってんだろうな、俺ら。

そういう彼らに気付いてか、ふと目を戻せば、下では並んで怪訝そうな顔と様子でジェクト達を見上げている。
おい、何だ、と下方から声を掛けられて。それに対して、ジェクトはひらひらと手を振って。

「――――ああ、楽しそうじゃねぇか、俺らも混ぜろよ?」

そう言う彼を見て、皇帝を見て――笑うばかりの彼らに気付いて。
そこで「英雄」までもが、やれやれといった風情で含み笑いを見せたのを見て。

「……」

ああつまり要は、遊ばれている……。と、ようやっと魔人は気付いたという。



――――ああ確かに。可愛いな。
それらの所感を述べるとばかりにそれから英雄にそう言われて、露骨に仰天としたゴルベーザに、また皆が吹き出したとか。




<終>

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