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2017-01-01 20:32

■ブラコン兄さんと皇帝

■ブラコン兄さんと皇帝。
騎士は駆け、跳ねて、兄へと飛び付くように抱き付いて、魔人はそれをその胸に受け止める。


――あの騎士は別段小さくも細くも無いが、ギガースの子か何かかという兄の方と比べれば、まぁ、随分と華奢に見えるな。


ああ兄さん、逢えて嬉しい――別れ別れであった兄が此処に居るという喜び、それを身振りで示すように騎士は微笑んでは強く兄を抱き締めて、また魔人も彼を固く抱き留める。
そうして佇み、仰ぎ仰がれ。ふと爪先立っては浮力を纏い、ふわりと浮かんだ聖騎士が、魔人の首に腕を回して――黒塗りの兜の頬へと、そっとキスをした。


――ああ、こうして見ているだけで歯が浮くな。男同士兄弟同士で、よくやるものだ。いかれている。


騎士と魔人。対のふたりは視線をその身をと絡め合い、硬い身体に身体を重ねてがちゃがちゃと小突き合い、「兄サン、愛シテイルヨ」「アア、私モダ」と割れた音で愛を語った――。


という、人形劇を見た。



「……」

二体のイミテーション。かりそめの人形。騎士セシルと魔人ゴルベーザを模したもの。輝石で構成されたこれは、本当のセシルでもゴルベーザでも無い。
しかし模造品とは言え、それはある種、確かにセシルでありゴルベーザである。イミテーションとは「本当」を元に作られたものなのだから。
ふたり向き合う「セシル」と「ゴルベーザ」。硬くも甘やかなその光景。それを眺める別の二人。
皇帝と、ゴルベーザと。こちらはこちらで卓を挟んで向かい合っては腰掛けて、繰り広げられるそういう有様を横目にしている。

「誰が、ギガースの子だ。私にはちゃんと、人間の父と母が居る」
「……貴殿のそういう、そうした所を、面白いとは思うのだがな」

生真面目にそう指摘をするゴルベーザに、皇帝は笑い、深く息を吐いた。

ほんの気まぐれで事を成し、お茶でもどうだと気安く声を掛けてみれば、意外にもこの魔人は、「ああ」だの「構わない」だのと言って誘いに乗った。
だが、こうして同じ席にはついたが、ゴルベーザは兜をしたままでそれを外そうという様子も無い。無骨で無粋で重厚であるばかりの鎧姿。情緒もへったくれも無い。
……話し相手になれ、というだけの意味で誘い掛けたのだとでも解釈したのだろうが。皇帝はゴルベーザの黒を見詰める。
この鎧男の素顔や素性というものには興味があったが、まぁ、いい。それはそれで。そもそもただの気まぐれなのだ。
さて。皇帝は軽く肩を竦め、がちゃがちゃといちゃつくイミテーション二体を眺めてまた溜め息をつく。

「仲睦まじい事だ」
「……」

ゴルベーザは、「彼ら」を見ては言う皇帝を見ていた。

「――ああ、あれはだな、試しにと戦闘意思などを取り除いてやれば、あの始末だ。イミテーションは、戦士として喚ばれた我々以上に闘争に特化しているものだからな、肝心の要点を引き抜いた事で不具合が起きた、という所か」

特有の敵意などを取り外したら、ただ仲良くなってしまった。という。
この兄弟の真情や底意というものを垣間見た感があり、正直、妙なものを見知ってしまったという気分にもなったが、この際なので更に試そう遊んでみよう余所見をしてしまおう、と皇帝は考えた。
『それ』を見て、『それ』をする己とその弟の人形を見て、この男は果たしてどういう顔をするのだろうか――そういう関心もあったのだが。
兜のままのゴルベーザは皇帝が言って指すのに促されて、視線を奥の二体へと移す。そして考え込むような間を置いて、首を傾げた。
疑問がある、という、そんな仕草。何だ、と皇帝が尋ねると、更に首を捻るようにしながらゴルベーザは唸る。並び立つイミテーション二体を見て。その光景を見て。

「不具合……とは。あれに、何か問題があるのか?」

そう逆に問い掛けて来た。悪いが理解が及ばない、という反応。皇帝も同じような思いをして目を返す。
「お前は何を言っているんだ」……お互いに、そうして相手を見た。

「何か……意見の相違というものがあるようだな」

皇帝はゴルベーザを、それから向こうの二体を順に指差す。
いや、ほら、おかしいだろう。可笑しいのか?ああ、うむ、滑稽だと言うか……笑えないと言うか。そうなのか。
皇帝とゴルベーザは互いを睨む。通じていない、と互いに感じる。平行線を辿るばかりで解は見えずで、ただきょとんとした巨体を前に皇帝は唸った。
……頭痛がして来た、そう言いながら皇帝は茶請けの菓子を突付き、匙を弄ぶ。

「そなたには……兄弟は居ないのか?」

何だ、唐突に。
不意に問われて、皇帝はゴルベーザの兜を見上げて窺い、ややあってからかぶりを振った。そうしてイミテーションらをまた指差し、苦く笑う。

「少なくとも、ああして気安くじゃれ合うような相手は居ないな」
「……ああ」

答えを聞いて、ゴルベーザは頷く。
何だ?ひとりで勝手に納得をするな。皇帝が睨んだ。

「兄弟だから、だ」
「何?」
「兄が弟を労わり、大事に想うのは、別段おかしくも無い。兄弟とはそういうものだ……恐らくは、きっと」
「……」

しみじみとそれを言われて、皇帝は手にしたままの茶匙を取り落としかけた。
……ああ、うん……うん?皇帝は首を捻ったり唸ったりをして、引っ付きいちゃつく大の男と男を「兄弟愛」だと言い切ったこの魔人を窺う。どうしたものかと考えもする。
呆気に取られて、唖然として――駄目だこいつ、早く何とかしないと。いや何とかしてやる義理など無いが。ではこのままで良いのか。いやいや、それは、どうだろう――それなりに悩み、考えて、遂には匙を放り投げた。

「……貴殿には、ああいう願望があるという事か」
「そなたにはお見通しだろうからな。今更、そういう事を隠し立てはしない」
「いや、そこは隠しておいてくれ……別に見通したくも無い」

堂々とした魔人にまた呆れる。

「私も所詮、そんなものだ。光に背を向け、憎しみを力になどと気取っていても、結局はただ幸福でありたい。馬鹿で居たいのだ」
「……まぁ、躊躇などはするだけ無駄だし、故に戦士というのは少しばかりネジが外れていた方がそれらしくもなる、とは思うが」

ほとほと疲れて、皇帝は卓に肘をついた。
どうとでもしろ、と手を翻し、ひらひらとひらめかせる。

「なら、貴殿もそういうようにすれば良かろう。どうぞ勝手に、貴殿の愛しい弟御を相手に馬鹿でも何でもやらかせばいい、そら、あちらのそれのように」
「……」
「何だ。そこで、何を黙る」
「……私がそうと思っていても、あいつも同じように考えてくれているかは……また、別の話だ」

おいおい。

「あのイミテーションはつまり鏡に映した私とセシルだ……とは思いたい、が。そうでは無いのかも知れない。そうであるとは、私には言い切れない。そうだとは、とても思い切れない」
「……」

――ああもう。

「……羨ましい限りだ」

ゴルベーザはそう言って。いちゃいちゃがちゃがちゃと過ごすイミテーションを、ただつくづくと見詰める。
ああ成る程。好きだから、こその葛藤とやらか?恋の軋轢か?――馬鹿らしい。本当に馬鹿らしい。皇帝は笑って、それから唸る。

そもそもつまり、薮蛇だった、とは後々になってから気が付いた。




<終>
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