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2017-01-01 22:34

■続きガーゴル

■続き。後日。

いつも、ずっと、夢見が悪い。ゴルベーザは夜が好きでは無かった。
昼間の眩さなどもそれはそれで苦手で、だから夜中の暗がりや静寂は心地好い。ただ、眠る事が嫌だった。悪い夢を見るから。


遠くから自分を導く声。そいつの誘う通りに動く身体。
自分というものが自分のものでは無いと思い知らされるような感覚、感触、感化、感染、感動と感涙。自分は呼び掛けて来る声の主の意のままにあるそういう物であるという事を、とても心から受け入れていて、感謝すらしているのだ。幸福を覚えていた。
有り難う御座います。嬉しい。そんな言葉を口にしたように思える。生々しい既視感。ゴルベーザは目覚めて直ぐの自覚と自嘲に、酷い吐き気を覚えて手で口元を押さえ、ああ、呻いて己の顔を覆い隠した。


「……」

きっと今日も悪夢に落ちる。
だから寝たくは無い、嫌なのだ。などと言うと、まるでお化けやそんなものを怖がる子供のようだ。
戦いの日々は続く、心身を休ませなくてはならない。それは分かっているし神に逆らう気も無い、きちんと明日を迎える為に寝床へ入り、だが、瞼を伏せる事は出来ずにいる。

「……」

ああ。ゴルベーザは手で目元を覆った。自分の掌の感触。自分で自分に触れているという当たり前の事をしっかりと分かるように、はっきりと意識をそこへ向ける。
自分だ、他の誰でも無い。自分の手、触れたのは自分、そう、これは確かに自分であって、自分で、他の何者でも無いのだ――考え込んで、手指で顔形をなぞっていて、ゴルベーザは唸る。何を、しているのだろう、己は。
ああ。ふと空しいような馬鹿らしいような気分になり、観念をした。寝てしまおう。ゴルベーザは身体を横たえて、放り出すようにして腕もそこへ投げ出した。
色黒の腕。幾筋かの傷痕。何と無く思い出したのは月夜の事。

ゴルベーザは、月を見ていた。愚痴を言った。慰めるようにして馬鹿にされて、いや、馬鹿にするように慰められて?そのガーランドに引っ張られて、帰った。

ガーランドに腕を引かれて。それこそ子供のようだ、格好の悪い、何とも妙な出来事だ。
そんなにも見るに耐えなかったのだろうか、いや、独り言だと言い張ってその実は泣き言を垂れていた自覚はある。実際、それは見苦しい事だったのだろう。ゴルベーザは情けないような恥ずかしいような、そして更にどうでもいいような気分になった。恥も外聞も今更だ。
漠然と思い巡らせながら、流石に次第に眠気が降りて来る。ただ大雑把に、出来事を振り返る。ガーランドの手は大きかった。あの猛者は人が由来の魔族だというが、手は人のそれとは違くて冷たかった。単に、体温が違うのだろう、魔物なのだから。
何と無く、ゴルベーザは思った。ああ。何であれ、それは別に不快なものでは無かったと。





そうしてずっと考え事をしていたからだろうか。
その日は、夢を見なかった。





「いつも、嫌な夢を見るのだ」
「何だ?」

がしゃがしゃと鎧で並んで歩いていた。
唐突に言うゴルベーザに、ガーランドは首を捻って。

「だが、ゆうべはそういうものを見る事は無かった」
「……そうか。良かったな」

ゴルベーザはただ続ける。ガーランドは返しに困って、ああ良かったなと適当に答えて。

「有り難う」

――は?ゴルベーザがそこで礼を言うので、ガーランドは益々首を傾げた。

「何だ、何の事だ?」
「ずっとそなたの事を考えていたから、夢を見る暇も無かったのだと思う、多分」

がっしゃん。大きく足を踏み出して、ガーランドはゴルベーザより先に立つ位置で止まる。

「どうして、わしの事なんぞを」
「いや、別に、何と無くだが」
「……寝惚けているなら、とっととまた寝床へ帰れ」

窓のある廊下。外はもう夜だった。
二人とも足を止めていたが、やがてまた歩き出す。夜空の月に振り返る事も無かった。




<終>
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