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2017-01-01 22:45

■月兄弟と贈り物

■月兄弟と贈り物。(コスモス編/カオス編)

「兄さんに、会いに行くんだろ?」

呼び掛けられて、振り向いて。
セシルは、笑顔のバッツと顔を見合わせた。にやり、とか、にっこり、とか、そういう表情。
そろりと抜け出そうとしていたセシルを、そういうバッツが引き留める。

「そうなの?」

その後ろからは、オニオンナイトも顔を出した。
ティナも気付いて振り返り、まるでそうして周りに伝わっていくようにして、そうなの?そうなのか?と皆が皆、セシルに尋ねては覗き込む。

「え?……ええと……」

思わず、たじろいだ。何でも無い、ちょっと行くだけだよ、なんて言って何食わぬ顔で出て行けば良かったのに、もう遅い。八つ当たりのようだが、セシルはちょっとバッツを恨んだ。

『兄さんに会いに行く』、実際そうなので、誤魔化す事も否定をするのも出来なかった。いや、別に、悪い事をしに行く訳じゃ無いんだ――って、この場合の「悪い事」って何だろう、ただ兄と話をしたいというだけなのに、僕が兄さんとそれ以上の何をするというのだ……あ、何だろう、何だか恥ずかしくなって来た……。

セシルは皆の輪に囲まれて、困って。そして、真っ直ぐにセシルを見詰める光の戦士と目が合う。
我らがリーダーの、真面目な顔。いや、怒っているようにも見える。不満がある、というような。

「敵に、会いに行くというのか。独りで?」
「敵、って。そうだけど、仮にも兄ちゃんに対してそれは無いだろ、リーダー」
「『仮』じゃ無い、兄さんはちゃんと僕の兄さんだよ」

光の戦士がセシルに尋ねて、そこへバッツが口を挟んで、思わずセシルは言ってしまって。
――ほら、なんて、バッツに付け足される。

「すまない、失言だった……だが、君の兄、ゴルベーザはカオスの側の戦士だ。彼に会いに行くという事は、混沌の領域に近付くという事でもある」
「……はい」
「――確かに、家族の者に会いに行くというのに、部外者が着いて行くのは無粋だとか、そういうものなのだろう。家族水入らず、などという言葉もあるそうだしな。しかし……やはり、独りで、というのは」

光の戦士はかぶりを振って、またセシルを見詰めて。

「……心配だ」
「それは、まぁ」

皆が、ああ、うん、と同意する。
でもさ、と言って、羽飾りが跳ねた。そう割り込んで来たのはオニオンナイトだ。

「ただ会いに行くだけで、ただ話をしたいってだけでしょう?それを狙って来る他の奴らも居るかも知れないけど、なら、そういう事にも用心してれば大丈夫でしょ、セシルは強いもん」
「ああ、ゴルベーザも強いけどな!!」

――何だ、ティーダ、急に大声で。
いや、その、前にカオスの連中なんか別に~なんて言った時、ちょっとセシルに睨まれちゃってさ……身内を下に見られちゃ、やっぱ嫌だろ、あっ!俺は別だけど!
そんな話をしているフリオニールとティーダを余所に、ああ、うむ、と戦士は頷いた。

「では、敵同士だとか、そういう事は少し置いておこう。……見た所、今の君は特別なアイテムなどは持っていないようだが、年上の、言わば目上の相手に会いに行くのに何も用意をせずに手ぶらでは、失礼ではないか?」
(何故いきなり、そうなるんだ)

ううむ、と考え出した光の戦士に、スコールや横のティナも首を傾げた。

「そうよね……お土産とか、何か持って行った方がきっと喜ばれるよね」
(……いや、そうじゃ無いだろ)

ああ、そうだそうだな、と頷く皆。

「あの人は魔道士だもんな、そうは見えないけど。なら、そういう方面のアイテムとか貰ったら嬉しいかも」
「それはお土産っていうのとは違くないか?」
「敵に塩を送る、というのは聞こえは良いが……それが士気を削ぐ事にもなりかねん」
「リーダー、話が戻ってるっス。今は、敵とかそういのは関係無しで」

む、すまない。じゃあ、花とか。いやそれ、あの人は嬉しいかな?て言うか枯れたら悲しいかも。えっ、だが、思い出にはなるぞ――思い出に、って言うなら、やっぱほら、一緒に美味いものでも食べるとか、そういう!短絡的というか、即物的だね……でも、それいいかも。

「……」

わいわいと、皆が皆で話し合う。当のセシルはそんな仲間達に囲まれて、申し訳無いとか、有難いとか、色んな事を考えた。皆のように、兄の事を思い浮かべもする。

(……兄さん)

あの黒い鎧。大きな背丈。セシルが密かに凄く好きだと思っている、その低い声音。
お土産。プレゼント、なんて、こうして皆が言ってくれなくては考えもしなかった。差し出がましいような気持ちもあって。けれど、そういう躊躇を皆の思いが吹き消してくれた。
彼らの心遣いに感謝をして、セシルも考える。胸が、どきどきした。ああ――兄さんは、何をあげたら喜んでくれるかな?









「弟の元へ行くのか?」

そう呼び止めたのは皇帝だ。
嫌でも目を引く例の金色が、ゴルベーザの方へやって来る。

「弟に会いに行くのだろう?」

――二度も言うな。しつこい。と言ってやりたいのを我慢して、返事もせずにゴルベーザは黙っている。
皇帝は冷静沈着なようでいて癇癪持ちだ(最悪な事に混沌の殆どの奴がそうだが)、面倒な事になるより前にもう正直に答えてしまおうか、などと考えていたら、そんなゴルベーザの前に皇帝は手を差し出して来た。

「手ぶらではつまらんだろう、差し入れだ」

その手には、一つの小瓶。それを、思わず受け取る。

「……何だ、これは?」

ゴルベーザは、摘み上げるようにして持ち、眺めた。
桃色の瓶だ。魔法の気配は無いが、何か妙な雰囲気がある。通路の灯りで中身を透かせて、軽く揺らして、液体だと確認して。薬だろうか?

「ああ、それは媚薬だ」
「……」

反射的に叩き割ろうとして、耐えた。

「無粋だねぇ。露骨過ぎる。そこは、惚れ薬って言いなよ」
「貴方もですよ。そんなもの、何か暗示を掛けて、それらしい言葉で惑わせて……それで十分でしょう」

ふと、揶揄のような声を投げ掛けられる。先に声を掛けて来たのは、クジャだ。その次にアルティミシアが続く。
通りすがりだか何だかで、ゴルベーザの周りに集まり、皆が口を出して来る。

「薬というのは、それを飲んだという前提があるだけに自覚をさせやすい。羞恥を促す意味合いもあるが、この身体の昂りは薬のその効能によるものなのか?それとも、と己を疑わせるという――それが、また愉しいではないか」
「それは……一理あるね」
「敢えて遊ぶという、それは確かに面白い……」

そんなもの、納得し合うな。具体例など挙げるな。
そういう事を聞かされて、逃げ出すよりも前に、今から会おうという相手のその顔がゴルベーザの脳裏に浮かぶ。こんな時に思い出したくなど無い、とても大事で大切な、ゴルベーザの弟の――その彼を想う横で、情事や艶事や寝床の話などするな。貴様ら。

(……)

ゴルベーザの、手の中の小瓶。
持って行くつもりも無いが、こんなものを手にした後でセシルと会うという、その事態がもう嫌だ。
ゴルベーザは思う。これから、セシルに会いに行くのだ。いや別に、ただ話をしたい、改めて二人で会いたいのだとあちらが言ったのだという、それだけなのだが――なのに台無しなんてものじゃ無い。こいつら流の心遣いや親切というものに、本気で頭が痛くなった。どうしようとか、ああ、最悪だ、と。





贈り物を云々と繰り広げるより前に、二人は赤い顔でしたという。




<終>
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