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2017-01-01 00:00

■モブセシ/月兄弟

■毒電波なパラレル。不特定多数×セシルと月兄弟愛。

「お前の弟は、生きているよ」

ある日、”声”が私に告げた。
あの日あの時お前が捨てた、あの子は今も生きている。
あのまま雨に打たれて凍えて死んだか、飢え死にしたか、魔物にでも喰われたか。そう考えていただろう?そう思い込んでいたのだろう?
”声”は笑う。さも可笑しいと、笑い転げた。
私は瞠目するのみで、何をそうも笑うのだろうとは考えても、それを尋ねる事はしない。焦れては”声”を仰いで、せがむようにもして、続きを、とだけ乞い掛けた。
”声”は答える。そう、あの子は死にはしなかった。ああ、けれど幸か不幸か、これは喜劇か悲劇か悲喜劇か。あの後あの子を拾ったのは、人を飼っては人を売る、そうした類の商人だった。
まるで絵本を読み解くように、”声”は記憶を読み上げる。
あの子はそれは綺麗になった。美姫と見紛う、それはそれは見目麗しい男の子だった。それが、人受けしたらしい。それは一興、または一驚と、愚昧愚拙な人間どもが寄って集って慰みにした。

「…」

お前と同じ銀の毛筋は、揺さぶられては乱れるばかり。お前と同じ色の瞳は、奴らの欲を映しては臭気に淀んで潤むばかり。
お前があの子を手離した、あの時と同じだ。あの子は泣いては泣いて、泣きじゃくるばかりで、そこに居る。

「…」

ああ。今更だとか、手後れだとか、そんな事は無い。
何も変わってはいない。終わってはいない。お前が見捨てた、あの日のままだ。あの子は何も言えずに何も出来ずに、そこでそのまま泣いている。
”声”は、言う。

「お前の弟は、生きている」

ああ、そうだ。そう言えば。
”声”は手を打ち、付け加える――ああ。今日は、あの子が主役の宴の日だ。






「弟への挨拶は、『はじめまして』か?それとも、『久しぶり』か?」






窓の無い部屋。
何かの薬か、妙な臭いが鼻をついた。
まるで意味を酌めない――おそらくは淫語の類なのだろう、下卑た言葉で煽り立て、腰を振る男。
まるで写しか何かのように、先の男と一様に喚いては笑う男。
吐き気を催すこの只中に、銀色が見えた。
彼が、彼だと。一見して気付いた。
少女とも少年とも見える、幼さゆえの曖昧な身体。それを掻き抱いては貪る、男達。汗の臭いと精の臭いと荒れた息遣いと罵声と嬌声と。吐き気を催すこの只中で、銀色がもがく。
奇妙な器具にて身を縛られた彼は男のものを口腔に咥え、下肢を穿つまた別のそれに打ち震える。咽び、嫌だ苦しいと泣き出す彼の頬を、男が叩いた。





爆ぜた汚物を蹴散らして、彼へと駆け寄り、抱き上げた。
くたりと伸びて動じぬ彼の、その白銀の睫毛から汚濁が垂れ落ちる。ぽたり、ぽたりと、顎から上肢へ下肢から足へ、精液が垂れ落ちる。
じくりと疼いた胸をさて置き、私は彼に何を言えば良いのかと考える。
お前の口を侵した男は、裂いて砕いて踏み潰した。お前のそこを犯した男は、叩き伏せては焼いて殺した。
…そんな事を言えば、彼はきっと怖がるだろう。とは言え、この惨状では何もかもが今更ではある。血溜まりの中に跪き、恭しくも甲斐甲斐しく――薄汚れた彼を抱き抱える。
憤るまま逸る思いに任せて、殺して殺した。ああ、流石にこれは短慮であったと、また今更に思う。横で燻る肉塊が、歪んで崩れた。
私は彼を抱き、彼の顔を見て、彼を想う。

「お前を迎えに来た」

迷いに迷った挙句、それだけ言って、彼の髪を緩く撫でた。
しかし加減が分からない。犬猫を扱うのとは違うのだ。そもそも、犬や猫を抱いた事など無いのだが。
拙劣な手付きで髪を撫ぜる。迷うばかりの私を余所に、彼は薄く目を開けて、その瞳に甲冑の黒を映した。
あなたは誰、と彼が問う。お前の兄だと私は答える。彼は私を眺めては見て、兄、と口にして繰り返した。

「僕の…お兄さん?あなたの事を、そう呼べば良いの?」
「そうではない」

何を言えば良いのだろう。
”声”が言うのを思い出す。はじめまして?久しぶり?…そうではない、と己に向けてもそれを言った。
どうして、私はここへ来たのだろう。そんな事すら考える。――ずっと後悔していたから。許されたいと、思ったから。許して欲しいと、乞う為に?

「…私は、お前を迎えに来たのだ」

己の為に言い示す。
先に言った通りをなぞり、重ねる。

「いけないか?」
「…分からない」

おかしな事を言っているとは自覚するが、言うべき正答が全く思い当たらないのだから、仕方ない。
彼の瞳が私を探る。…困らせてしまった。困らせたい訳ではないのに。そんな事を思いながら、己と同じ色の瞳に見惚れてもいた。
私は彼を見る。彼は私を見る。

「僕には、お父さんもお母さんも居ない」

彼は私を見た。私は彼を見た。
眦が揺れる。己を己で抱くようにして、彼は肩を竦めた。

「僕は、お父さんとお母さんに捨てられてしまったんだよ、って。いい子でいないと、またあの森に捨ててしまうよ、って。だから、…」

…吐き出されたものが喉に絡むのか。幾度も咳き込み、痞え痞えに彼は言う。
彼は私を窺う。私は彼を見下ろして、私を見る目を見て返す。その瞳に己はどう映っているのだろうと思い、考えた。
ああ。この甲冑が、彼からすれば恐ろしくも見えるかも知れない。唐突にそう思い至り、膝へと移した彼を揺り落とさぬようにと留意して兜を脱いだ。
髪を結わえる紐も解き、彼と揃いのそれを彼の眼前に晒す――彼が、それらをまじまじと見詰めるから、だろうか。どうしてか妙に気恥ずかしくなり、あまり見てくれるなと心の内で思う。

「同じ色」

ふと呟いたのを、ふと耳にする。
彼の瞳の色が和らいだ、ように思えた。
――血の臭いが、鼻を刺す。彼は辺りのそれにまるで気を向けず、私を見ては同じ色だと何度も言い重ねた。
手を挙げては近付けても、怯むような気配は無いので、手をやっては押し当てて、彼の肌身を汚すものを拭う。
そうしてそのままそれをしながら、どこか気抜けた彼に語り掛けた。

「…お前を捨てたのは、私だ」

彼の双眸が揺らいだ。それを見据えて、ただ語る。ああそうだ。私はお前を捨てたのだ。幼いお前を見捨てて、置き去りにして。振り返りもしなかった。
言い切り、突き付け、また言い募る――彼と、私と、遠くと近くとでせせら笑う、あの”声”へ。

「…」

彼は、私を見詰めて。
首を捻り、考えて、考えて、言う。

「でも、迎えに来てくれたんだよね」

…………。
きっと、おそらく、妙な顔をしてしまった、と思う。
また何も言えず、不審に思われたろうと心配になる。けれど、もはや気も回らない。動じぬままに動じぬふりだけをして、平静を欠いた。
幾度か調子を変えて息をして。やがて漸く、口が動いた。

「お前に、会いたかった」

刀身を突き立てた、その傷口から溢れ出る鮮血のように。
ただ自然と、それが口をついて出た。









「どこか痛いの?」

考え抜いてから言葉にするからだと、後々になって気が付いた。
やたらと間を置き、或いは(私からすれば)ひどく出し抜けに突然に。ある時、彼が私に言った。
私へ近寄り、私を見上げ、彼は私を窺った。
私は彼へと向き直り、彼の言葉を振り返る。…そんな顔をしていたのだろうか。どんな顔をしているというのか。
煩う私に、彼は手を伸ばす。彼の手が、私に触れる――鎧越しだが、心臓を直に掴まれたというような、それくらいの衝撃があった。
柄にも無く緊張などする私に対し、彼は何かを言って、何かをした。鎧越しだが、それが伝わる。魔力の香り。温かな、癒しの――

「…ずっと前に、お姉さんが教えてくれた」

ふと哀しげに彼は言うので、お姉さんというその人の安否には触れずに頷くだけした。

「ケアル、か」
「知ってるの?」
「それをそれだと知っているだけだ。私はそれを使う事は出来ない」

そうなの?どうして?彼は目を丸くする。
兄さんは、もっとずっと凄い沢山の魔法を使えるのに、何故?…痛い質問だ。ケアルと言えば初歩中の初歩、だがしかし私は生粋の黒魔道士であるので白魔法は範疇外で…などと言い訳するのも見苦しいだろうと、私はただ唸る。
口を噤んだ私の手を手で握り、彼は少し胸を張る。

「じゃあ、次も、今度も。兄さんが怪我をしたなら、僕が治してあげる」
「…お前は、優しい子だな」

贖罪だとか、二人きりの兄弟だとか、そんな事とはまた別に、私は彼が好きになった。
優しい彼は私に応えてくれて、彼を抱き締める私を抱き締めようと精一杯に腕を伸ばす。しかしこの体格差は如何ともし難く、躍起になる彼を愛しく思い、その小さな手を細い手足をいじらしく想う。
そして、私の弟に覆い掛かり、私の弟の身体を噛んでは抱いた、あの男らを思った。

きつい精の臭いが、こびり付いて離れない。幾度も幾度も貫かれた後孔は腫れては震え、ぽかりと口を開けたまま精液を垂れ落とした。
奴らの声が耳に返る。屑のような連中が、一度でもなく二度でもなく彼を犯して犯して犯したのだという、その事実を憎悪する。泣き濡れる彼を罵倒し、肉を埋めて笑うのだ。彼の中に腐れた体液を吐き出して、心地好いと笑ったのだ。
手甲を手套を抜いては脱いで放り捨て、息を切る彼を支えて、手指で白濁を掻き出した。未だ熱に奮える彼のものを抜いてもやった。彼は喘いだ。

――かぶりを振り、回想を散らす。けれど記憶は失せもしない。
弟の口はどれだけ男のそれを受け入れたのだろう。弟の舌は男のその味を知っている。飲み干せと命じられて、吐き出してしまうと叩かれるからと、頑張った。聞きたくもない話を聞き、私は押し黙る。

「まだ、痛い?」

歯噛みに歪んだ私の頬を、小さな彼の手が撫でた。






愛している、と。
そう思い、そう告げた。

ああ。起こしてしまったか。詫びる私の手を手で拾い、彼はおぼろにまどろむままで手を眺める。
やがて手指に顔を寄せ、口を付けた。
幾度か啄ばみ、食み、舐めて。指を指先を一途に見詰め、含んではしゃぶる。
指を吸い、啜る。彼の舌が肉を湿す。温かな粘膜が肌膚を締める。彼の唇が、指を咥える。手応えをより明らかにする、くちゃくちゃという濡れた音。
時折覗く舌の赤が、酷く生々しい。彼は、訴えた。

「して欲しい」

彼の言動はあまりに端的で、まるで意味が分からない。――何を?と悩む私に、”声”は言う。
何の事は無い。この子はお前の事が好きだから。いやいや或いは、ただ欲を持て余したというだけか。”声”は笑う。意味が分からない。
彼は、おなかが空いたのさ。そう”声”は言う。比喩を比喩だとは理解して、けれど本来の意図を掴めない。
では私はどうしたら良いのだと矢継ぎ早に尋ねて返す。

「兄さんの■■■で、■■■■して欲しい」

彼が言った。






彼は、味を知っている。
今も今でも彼は夜毎に、そうした夢を見ているのだろうか。






夢中で築いた砂の城。
銀砂に含ませるべきはぬるま湯などではなく、もっと別のものだった。銀砂が欲したのは甘い飴玉などではなく、酷く下卑たものだった。
それはとても認め難く、私は正解を知りながらも解を解として答える事を迷う。

「弟を汚らわしいと思うか?」
「汚れているのは、この世界だ」

”声”は笑った。
砂石を水で固めて築いた城は、直ぐに乾いて崩れて砂塵へ返る。だから足さなければいけない与えなくてはならない。何を、とは考えたくも無い。
ではこれはどうだ、奴らの血で代用する事は出来ないだろうか。生血を壁に塗り込めて、血糊で固める事は出来ないだろうか。連中を根絶やしにすれば、彼の凝りも消えるのではないか?
”声”はこの提案を肯定も否定もせずに、私の背を優しく押した。
有難う。どういたしまして。私は少しも笑えずに笑みに応える。私はそして刃を揮う。

母は美しい人だった。心優しい人だった。この青き星の民全てが悪しき者だなどと、そんな訳が無いとは分かっている。
私は私の膝で眠る彼を想う。いとけない寝顔と、彼が見る夢を思う。

「それでも、私はこの世界を許せない」

ずぶ濡れの私を見て、”声”は笑った。
可哀想に。ああ可哀相に。”手”が私の頭を掻き抱いた。
”手”は私を撫でては嘆く。何という悲劇。そもそもあの子を捨てたのは、他でもないお前だというのに。
言われた私は、深く溜め息を吐く。


「弟を捨てろと言ったのは、貴方だろうに」


ああやはり、これは喜劇か――”声”は、嗤った。




<終>
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