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2017-01-01 23:46

■月兄弟

■月兄弟。そんなところ舐めたら汚いよう><

襲い来る、イミテーションの群れ。
混戦の中で光が弾ける。そして現れ、ずるずると蠢く巨大な何か。召喚されたモンスター、モルボルだ。
その巨体が戦場に現れて、人の腕程もある触手を縦横無尽に叩き付けて来る。モルボルの無数の触手、裂け目のような巨大な口。ああ、本当に恐ろしいのは、その息吹だ。

「……っ!」

しまった!セシルは咄嗟に腕で庇い、口を結ぶ。モルボルの毒の息が吐き出されて、辺りの空気の色を変えた。
纏わり付くような濃度。痛いくらいの毒気。肌が焼けるようだ、そして酷く寒気がする。そんなものを真向かいにしてしまった。セシルは己の失態を悔やみ、兎に角逃れようと跳ぼうとする。が、足が動かない、そればかりか膝が勝手に落ちて、セシルはそこにへたり込んだ。
モルボルの巨体の影が白騎士を暗く染める。分厚い触手が鞭のようにしなり、痺れたセシルの四肢を打った。叩き破かれた皮膚に、跳ねた体液が降り掛かる。
まずい。苦しい。毒がセシルを蝕む。
目が眩む中でセシルは思う。戦っていたのだ。このイミテーションの統率者を見付けて、そちらへ向かって真っ直ぐに跳んで。だからモルボルにはきちんと注意が行かなかった、それは本当に失態だ。ああ。セシルは立ち向かったのだ、「騎士ならば敵と戦え」と、そう言われて。あの混沌の魔人、黒い甲冑の――
ああ、くそ、駄目だ。敵方がセシルのこの異変を見過ごす訳が無い。やられる。情けない。ああ、くそっ!
セシルが考えているうちに、鉤爪のような手がそこへ来る。
――セシル。名を呼ばれた。広くはためく外套、甲冑の輪郭。視界を覆う黒。
そうして、セシルはモルボルの臭気の中から引っ張り上げられた。






体感的に分かる空間の歪み。テレポ?デジョン?混沌側の独自の力か、そういうもので飛んだのだ、恐らくは。多分。
場を脱して、着地をしたという感触があって、セシルは兎に角、清浄な空気を必死で掻き込む。はあ、ああ――息を継ぐセシルは、ゴルベーザの腕の中に居る。
セシルは残る頭痛に眉を顰めて、見たままで判断をする。此処は、戦場の喧騒から遠い、何処か小高い場所。

「……」

イミテーションは置き去りにして来たのだろうか。もう戦うつもりは無い、という事か。自分はさらわれたのだろうか。
ゴルベーザはただそこに居る。そういう彼を窺い、セシルは何か言おうとしたが、痺れて舌が回らない。う、あ、とおかしな音を出して、諦めて口を噤んだ。
ゴルベーザはセシルを抱えて、その場に屈んだ。セシルがのろのろと視線を上げるとゴルベーザは手をやってその兜を脱ぎ捨てていた。
無造作な動作。大きな手。露わになる素顔、瞳。銀色の髪。

――僕と同じ色。

ゴルベーザは軽く髪を掻き上げて払い、その目をセシルの身体に落とす。具合を診ている、というような目線。そうして互いの視線が合って、ああ、ゴルベーザはかぶりを振った。

「……あんな情けない決着を誰が望むか」

それがゴルベーザの説明。

「恥だと思うのならば、どうとでもして返上してみせろ」

ゴルベーザはきつい言葉を投げ掛けて来る。だが、言い方は穏やかなものだった。

ゴルベーザの目が逸れて、何か探っているらしい様子。アイテムを取り出したのだ、瓶だ。あれは何だとセシルは痺れた頭でぼんやりと考える。
何か聴こえた。多分、瓶の蓋が落ちた音だ。そうして封を開けたそれを、ゴルベーザは口に含んで――セシルの手を掬い取り、傷に唇を添え当てる。
躊躇など無い。己は敵だと言うその口が、セシルの傷痕の毒を吸う。一度脇に吐き出して、また薬を含んで。
肌に当たる唇の柔らかな感触。血や汚れを舐める舌。あ、とセシルが思ったのは相当に遅れてからだ、ゴルベーザはセシルの腕を拭い、毒消しを傷に塗り込めた。
さらりと垂れた銀髪。兄の顔。抱いて支えられて、その逞しい腕に寄り掛かる自分。

ああ、もう毒が回っていたらしい。
顔が熱くて頭も熱くて、胸の鼓動は喚くばかりで、セシルは感謝もろくに言えずに噛みまくり、ゴルベーザに本当に心配をされてしまって、ああもういいから休んでいろと抱き込まれた。
風の感触、夜の空気。静かな時間。

召喚をされたモンスター。調和の側に呼ばれたセシルと、混沌の側に呼ばれたゴルベーザ。だから二人は互いと戦う。だけど、二人は兄弟だった。

硬い鎧の胸の中で、セシルは呟く――兄さんは、ずるいよ……。




<終>

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  1. FF/DFF二次創作(腐)

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