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2017-01-01 23:59

■スカルミリョーネ→ゴルベーザ

■朗らか毒電波なスカルミリョーネ→ゴルベーザ。

暗夜の行軍。
とは言えゴルベーザが供にと選んだのはスカルミリョーネただひとりで、「いちいち大人数で行くなど馬鹿げている」「私の力量を疑うのか?」と言う主に更に異を唱える者など居る訳も無く、つまりはふたりだけで行こうというそういう事になった。

「――などと偉そうには言ったが、こうも暗くては目が利かない。お前達とこうして居ると、余計に痛感するな。人の身とは、不便なものだ」

ああ全く。自嘲気味に、しかし言い方はどこか気楽に。主がふと呟くのを、スカルミリョーネは黙って聞く。
深刻な話でも無く、言葉遊びのようなものなのだろう。雑談と言うか。だが、スカルミリョーネは気の利いた返しなど思いも付かず、下手をして主の御気を悪くするくらいなら、黙っていた方がいい。主は特別返事を期待しているという訳でも無いのだと、それくらいなら分かる。
だから、自分などは、別に。それこそ自嘲的に、そうして口を閉ざした。
畏まり、へりくだり、背を丸めてはぼろ切れのような身体を小さく畳んで、主の言葉をただ噛み締める。
主の心意を間違いなど無く酌めるように。粗相の無いように。スカルミリョーネはゴルベーザの幾歩も後に控えた。

主がそうと言われたように、己は人外のモノだ。もはや人では無い。
スカルミリョーネの目には、灯りの一つも見えないこの暗がりの中でもゴルベーザの鎧の黒がはっきりと見て取れた。

(ああ違う、世界を塗り潰すだけの暗闇とそれは、全然違う)

この目がどうこうという話では無いのだ。主の黒は、彼には眩く際立つものと思えた。
そして安易に、松明などを思い浮かべる。己の道を照らし出してくれる光。このような、己のような者に、手を差し伸べてくれた人……。
漆黒を冠するゴルベーザ。けれどスカルミリョーネにとって、主とは輝かしいものだった。だから、見える。見えている。主はこの腐れた己に、正しく世界を見せてくれる。

「ああ、そうだ。城も街も焼き払えば、この目にも見晴らしが利くだろう」

ゴルベーザは笑って、それを言う。
主にとって妨げとなり、そして己と彼との隔たりともなるものならば、ああ、要らないな。そんなものが在ってはいけない。スカルミリョーネもそう思った。
そうして、おこがましくも考える。そう言う貴方の助けとなれたら――とても嬉しい、などと。

ゴルベーザは、前を行く。だが、不意に足を止めては佇み、何事かと窺うスカルミリョーネへ向けて大仰に肩を竦めた。

「駄目だな。見通しが利かない、足場も悪い。今にも足を滑らせてしまいそうだ」

それは、格好が悪い。そうはなりたくは無い。ゴルベーザは言って、無造作に手を挙げた。突き付けるようにもしてスカルミリョーネの面前に示し、手套の手の平を見せる。
反れた手甲。見せ付けられた手套の腹。その意図を計りかねて、スカルミリョーネは深く考え――ゴルベーザが恐らくは笑ったのだろう、兜の奥からそういう音を聴いた。

「察しが悪いな。お前には、ちゃんと見えているのだろう?手を引いて、先導をして欲しいのだが」
「それは……しかし、私はこのような者です。貴方の御手を汚してしまう」
「こちらがそれを頼んでいるのだ、そんな事を気にするものか」
「毒気ばかりの私に触れれば、御身に障ります」
「見くびるな。ああ、お前を軽視している訳では無いが、とは言え大将に対してその台詞は無いだろう……」
「も、申し訳ありません!……ですが」

「――スカルミリョーネ」

主が、名を呼ぶ。兜越しの目線が、異見を射抜いた。
鼓動を止めた心臓が、跳ね上がったかのように感じた。竦み上がるスカルミリョーネのその頭巾にゴルベーザの手套が触れて、弄ぶ。撫でるような仕草で。

「先導をしろ、と。私はそう言っているのだ」
「……」
「スカルミリョーネ?」
「……はい」

改めて差し出された手。
骨張る手がそれを受け取り、では、と短く言うだけをして。主が頷いたのを見てから、歩を踏み出した。

「ああ、助かる」
「……助けられているのは、私の方です」

簡単に言うゴルベーザに、スカルミリョーネも簡易に続けた。
暗闇の中。主とふたり。手を取って、話をしよう、とゴルベーザが言うのだ。いつまでも聞き手に徹するというのも無粋である。だから、スカルミリョーネは観念をした。意を決する。

「貴方は、私というものを認めて下さった……今も、私などを連れ出してくれて、だから――貴方を、こうして導くような、そういう事が出来て……こ、光栄です」
「大袈裟な奴だ」

ああ、どうしたものか。笑われてしまった。上手くは言えない、これも違う。少しばかり話が違う。スカルミリョーネは呻く。
手にしているのは、主のその手。ゴルベーザを支えるようにもして、スカルミリョーネは歩く。
ゴルベーザは何よりの恩人だ。己を救ってくれる御方。つまり今も結局、その実は貴方が私を導いて下さっているのだ。貴方が居るから、見えるのだ。貴方を想うから、足取り軽く進める。迷わずに行ける。そういう事なのだ、本当に。結局。まさに。
――なんて恋歌めいた事を、その通りに言える訳も無く。笑うどころか、戯言は止せなどと言われてしまうだろうか、とも考えて。悩んだ果てに、スカルミリョーネはまた黙り込む。
しかし、幸せだった。

「……御気を付けて」
「ああ」

なんて会話をして。ゴルベーザに寄り添うように、曲がり切った背を出来得る限りに伸ばして。
ああ――生きてて良かった、では無くて。ああ死んでいて良かった、とでも言えば良いのだろうか。
主が私などを選んでくれて。頼りにしてくれて。その御手を引いて、共に行く。
もしも今でも生身のままであったなら、鼓動を速く強くに打ち過ぎて、胸が破裂していたかも知れない。のぼせ上がって、頭などは茹で上がって、脳味噌が気化をしていたかも知れない。
つまり今の自分だから、こういう己だからこそ、主と共に居られるのだ。正直浮かれて、夢見心地で、つい調子付いて。

スカルミリョーネは、己を漸く誇りに思った。




<終>

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