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2017-01-03 00:16

■続きゴルセシ/カイセシ ※18禁

■続きゴルセシ/カイセシ。 ※18禁

一瞬だった。
空間を裂いた魔力――魔術の心得の無いカインには『魔力』を『魔力』とは認識出来なかったが、虚空に感じた圧力はきっとそれだろうと理解した――が瞬時に形になり、それは手のようになってカイン達を掴んだ。いや、違う、手が手にしたのはセシルの事。カインからセシルを引き剥がしたのだ。
奪われた、いいやそうでは無い、返して貰ったのだ。カインの頭の中に直接言葉が届く。強く殴打されたような衝撃があった、叩き込まれたのはそれだけの怒りの念。

「……ッ!!」

セシル、とカインは咄嗟に呼び掛けようとする。腕の中が空になった、というそれ以上に感じる喪失感。カインは突き出すようにして手を伸ばす。振り払われた勢いで、背から宙へと投げ出されながら。
駄目だ、落ちる。落ちて行く。独りで。ああ。嫌だ、今、自分は彼を抱き締めていたのに、奪われて、この手はただ虚空を引っ掻く――セシル!!
カインは叫ぼうとした、悲鳴では無くセシルの名前を。落ちて行く事よりも離れて行く事が恐ろしい。哀しくて悔しくて、腹立たしい。白を抱き留めた漆黒を、見せ付けられて。
カインの身体にも黒が纏い付いた。竜騎士の直感で、形を見るよりも先に気配で気付く。ぐるぐるとカインに巻き付くもの、長い体躯。それは竜だ、黒いドラゴン。
宙を舞う黒竜がカインを縛り、そこで宙吊りにする。そうして、竜はその主を仰いだ。
ドラゴンを従える程の魔道士。流石、ああ、『魔人』だものな。カインは思う。ご丁寧に、有り難う。黒竜はその尾の先でカインの槍を拾って巻き上げていた。
この体勢から束縛を解き、槍を取り返して、セシルも取り戻す。ころしてでもうばいとる手段を考えて。
ああ、これも、魔法か?『呪縛の冷気』だと頭に響く声。カインは手や足からその意識までもが凍り付くまで、魔人を睨んだ。














「セシル」
「兄さん」

二人の塔。帰って来たそこで、ゴルベーザはただセシルを抱き締めた。
――無事で、良かった。それだけ言って、ずっとセシルを抱き締めている。セシルの温もり、髪の感触、その身体の形。噛み締めるようにして、ただ、ずっと。

「兄さん……泣いているの?」

ゴルベーザは何も言わず、頬を寄せるように引き寄せてセシルの頭を抱いた。
セシルも、兄を抱き締める。

「……ごめんなさい」
「お前は悪くない」
「兄さんは行ってはいけないと言っていたのに、僕は、外へ出てしまった」
「お前は、悪くない」

塔へ戻り、部屋へ帰り、ゴルベーザは深い絨毯の上にへたり込んだ。二人の部屋に、今また二人で居る。弟を失うという恐怖を、腕の中のセシルのその温もりが柔らかく解きほぐしていく。
ああ。けれど。悪いのは、そう、悪いのは――セシルを取り戻した事の安堵感を、憎しみの思いがぐちゃぐちゃに掻き回す。
ゴルベーザは、土の付いたセシルの素足を撫でた。無事で、良かった。それは素直な安堵。それは偽り。無事?良かった?ゴルベーザは正気を保てない。乱れた衣服。愛しい弟に起きた出来事。それは。
ぐっ、と思わずゴルベーザは奥歯を噛んだ。触れた細い肩に力を込める。兄さん?尋ねる声に、ああ、と応えた。

「……奴は、お前にどう触れた?」

ああ。そんな事を訊きたいのでは無い。そんな事、聞きたくも無い。ゴルベーザは意思とは別に滑る口を抑えられない。
どうなのだ。声を吹き込むようにして問い詰めて、セシルの耳朶を舐めた。頬や首筋へと口付けた。
あっ……にい、さん。セシルが甘く震える。けれど、その瞳には戸惑いがあった。

「兄さん、怒っている……?」
「ああ」

瞬いた睫毛、セシルのその目に目を合わせて、それからゴルベーザは彼に深く口付ける。舌の絡む音、交じり合う唾液。その熱い心地。合間の吐息。ずっと唇を重ね合い、唾液の糸を繋げて離れて。

「私にはお前だけだ。お前が私に、愛を与えてくれた。お前が居たから私は愛を知る事が出来たのだ。愛しい、私のセシル。ああ、愛している――」

いつかと同じ言葉。いつもそう想っているのだと語る低い声。白を掴む褐色の手。

「私はお前を愛している、セシル。何よりもだ。愛している、ああ、愛している。お前は、私の物だ……」

繰り返す深いキス。乱れた呼吸の中で、ゴルベーザは言う。
肌身に落とす口付け、足を持ち上げて余情を掻き出して呻いて、口付けて、口付けて、口付けて、セシル、兄さん、ああ。糸を引く唇で互いを紡いで、身体を繋げた。

「セシル……ッセシル」
「にい、さん……あっ、兄さん……!!」

ゴルベーザはただ激しくセシルを抱く。セシルは喘いだ。熱い性器が、水音を引きずってその場所を掻き立てる。昇る快楽。滴る汗。濡れた瞳に互いを映して、ただ、強く。
ああ、駄目、ああ――セシルの声。内側を穿つ兄のそれ。

「ああ、にいさん……ぁんっ、熱い――……っ!!」

どくどくと中を打つ精液。飛び散るその飛沫。ああ、熱い。絶頂に震えるセシルの、その涙も熱い。白い顎を手に取り、ゴルベーザがキスをして舌で涙を拭う。
呼吸。兄の分厚い胸に凭れる白。その身体を撫でた、広い手。

「――私の事しか知らなかったここに、奴は己を突き入れて、吐き出したのか」

ああ。ゴルベーザは、憎しみを抑え切れない。

「あの竜騎士を、殺してやる」

――にいさん。ゴルベーザの褐色の手に、セシルの手が触れた。













セシルの居た部屋とは違う、本当の牢屋。
多分、ただの縄では無いのだろう、びくともしないそれにぐるぐるに縛られて、カインは石造りの床に転がされている。ゴルベーザの部下であるらしい魔物に、ここへ放り込まれた。
正確な時間は分からない、半日かそれよりもっと経過した頃に、ゴルベーザはカインの元へと来た。
魔術師、という割には、でかい図体。全身を覆う重厚な甲冑。その鎧も背にした外套も黒。兜の下の素顔は、セシルと同じ色をしているのだろうか?カインはそれを思い浮かべながら、よお、と自由にならない手の代わりに首を傾げて声を掛ける。
牢屋の外側で、ゴルベーザは立っている。そうして居るだけで、恐ろしい。それだけの威圧感。『魔人』の魔力が、魔法を知らないカインにすら直感的な脅威を与えているのかも知れない。
その手が閃けば、カインは木っ端微塵か。八つ裂きになるかも知れない。背を震わす程の恐怖はあったが、この有様ではもうどうしようも無い、カインは開き直ったとばかりに話をし始めた。

「魔人さん。あんたの弟の部屋、あれは凄いな。はっきり言って、驚いた、いかれてる。噂のあんたの魔法がどうこうより、あの部屋の方が余程に怖い」
「……」
「いや、でも、分からなくは無い。セシルは綺麗だもんな、だからああして閉じ込めてしまいたいくらいに心配になったんだろう、兄さんは」
「黙れ」

――誰が、貴様の兄だ。……指摘はそこかよ、ああ、もしかしたら『いかれてる』って自覚はあったのか?

「セシルは、綺麗だ――俺は腕試しの旅をしている。やって来た塔の宝箱みたいな部屋で眠るセシルを見付けた。あんたが悪い魔王で、そいつに捕まえられた眠り姫だと俺は思った。鍵とか鎖とか。俺は、だからただ姫を助けてあげたかった。でも、だが、だって、ああ、そう、好きになったんだ。一目で夢中になった。姫は綺麗だった。綺麗な綺麗なお姫様は魔王に囚われてるっていうそういう事に、正直嫉妬した。おうじょはおれのものだ!って。期待したんだ。姫を助け出して感謝をされて、キスしたい、あの身体を抱きたかった」
「……」

ぴいん、と不思議な音。牢屋の鍵は、魔法のそれだったのだろうか。ゴルベーザが足を踏み出すと、重く音を響かせて牢の扉が勝手に開いた。

「――貴様は、どう死にたい?」

ああ。積極的だな。ゴルベーザに指差されて、その手から繰り出されるであろう大魔法の威力を想像し、カインは転げたままで魔人の手套の黒を見詰める。

「要は、貴様も『奪う』側の人間か。欲望に忠実で、分かりやすいな。反吐が出る」

ゴルベーザは言って、更に幾歩か足を踏み出して――その硬い靴で、強くカインを踏み付けた。衝撃。痛み、呻いた声。
痛い、痛ぇ、と訴えるカインを、ゴルベーザはそのまま足で蹴り付けてから身を翻す。
闇が広がるように、舞う黒い外套。魔人の眼はカインを射抜く。

「貴様を直ぐに消さなかったのは、ああ、どう殺してやろうかと考えていたからだ。一瞬たりとも生かしてはおけない、とも考えた」

だが、だ。……倒れているカインを前に、ゴルベーザは幾らかの間黙り込み、躊躇、逡巡、そういう間隔を空けて、唸る。

「――セシルが言うのだ、貴様を殺さないでくれと。いや、ただ、セシルは同情したのだろう、貴様の愚かさに。下劣で下卑た、その性根というやつに。あの子は優しい、目にしたものを見捨てる事など出来はしないのだろう――貴様のような屑にも機会を与えてやろうというのだ」

だから、セシルの慈悲に感謝しろ、何処へでも失せろ、二度と我ら兄弟に関わるな――嫌だね。カインは、ゴルベーザを睨んでいる。

「……」
「……」
「……」
「……」

セシル、が。睨み合う中で、振り返るようにして呟いたカイン。
――糞っ。ゴルベーザは口汚く吐き捨てる。苛立たしげにかぶりを振り、ふと腕を上げると、ごっ、と鉄格子に拳を叩き込んだ。鉄棒(いや此処は魔法使いの塔だ、鉄より違う素材であるのかも知れない)が、はっきりと折れ曲がって歪んだ。なんて馬鹿力だ。魔道士の癖に。次にはその豪腕が己の頭か胴へと振り下ろされる訳か、とカインは恐れながら待つが、いつまで経っても拳は降って来ない。
低い呟き。忌々しい、屑が。だが、だが、だ。ああ。ゴルベーザは繰り返した。

「貴様を殺してやりたい、許せるものか。セシルは私の物だ。私の大切な、大事な物だ。私はあいつを心から愛している、それを奪うような事をした貴様を、セシルを汚した男を――……ッ」

ゴルベーザは吠え――舌打ちをして、己の兜の口元に手をやる。

「……あれは、聡い子だ。どうして誤魔化そうとも、気付くだろう。……貴様の血などで汚れた手で、セシルに触れたくも無い」

それから、また長い間があった。ゴルベーザは再び黙り込み、さっきよりもずっと長く長く時間が過ぎる。
重苦しく続く静寂、石の床の冷たさ。カインは思わず身震いし、ただ待って。ああ。やっとゴルベーザが口を開いた――身の上話だ、と。

「我々は、貴様達とは違う種族だ。他には、多分、生き残りは居ない。貴様らのように生き汚い種族とは違う、独自の力を持て余し、大抵の者が血脈を手離した、という。ただ隠れたり、敢えて矢面に立って討たれたのだと」

魔人の言い方は、回りくどい。カインは彼の言葉を聞きながら、頭でそれを纏める。

『彼ら』はカインとは別の種族で、何しろ別のものなのでカインらには無い特別な力を持っていたりして、それを己で疎んだり或いは疎まれたり、狙われたり、それで『彼ら』はその血を繋げる事を放棄してどこぞに隠居をしたり、異種族と交わっては混ざり込んだり、ただ殺されたり、という、そういう事らしい。
『彼ら』に起きたのだろう様々な事、その詳細はゴルベーザの語りに聴き入るだけのカインには知る由も無い。

「――それは、そういう皆の選択だ。私達とは別の話だ。私には、世界や貴様らへの恨みはさして無い。寧ろどうでも良かった。私には弟が居た、それだけが全てで、種族のしがらみや宿命などもどうでも良くて、名前も捨てた。ただこの塔の管理をして、二人で死ぬまで此処で過ごしていたい。ああ、それだけなのだ」

私とセシルは、この世界で二人きりだ。いいや、そんな事だけじゃ無い、私はセシルを愛している――のろけかよ。いや、でも、違う種族だなんてセシルのああいう不思議さ(可愛さ)は確かにそれだ、うん。語るゴルベーザへとそう考えて言いかけて、カインは口を噤む。

「私はセシルさえ居てくれればいい。もう、何者にも邪魔をされたくは無い。絶対に奪われたくは無い。だから――……門番が、要る。何者をも迎え撃つ、力のあるものが」

ああ。忌々しい、忌々しいが、力というのは役立てて、利用をすべきものだ……。
牢の床に転がっているカインに、立て、とゴルベーザは言った。

「私は、貴様を殺しはしない。セシルも貴様を許した。だから、せめてセシルを守って死ね」
「……」

ええ、と。ああ。黒い甲冑の魔道士の、兜越しの眼光。その言い分。床に転がされていて立てないカイン。

「――あんたは、本当に……セシルの事が、好きなんだな」

この兄弟に、呆れたのか納得をしたのか、ああ、そう呟いたカイン自身にも分からなかった。













――怖かった。怖かった、けど、世界を見せてくれたんだ。





それを言う、その笑顔の為なら。













「貴様は、番犬だ。首輪と鎖が要るな」
「それがあんたの趣味だっていうならそれはそれでお断りだが――そんなもの今更だ、もう、しっかり引っ掛かってる」

首や手首を指す仕草。『姫を繋いだ鎖』では無くて、『姫が繋いだ鎖』――ああ、うん。多分、あんたにもな。




<終>
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